佐野理事長ブログ カーブ

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第247回 忙酔敬語 『週刊現代』

「先生がこの前に処方してくださった桂枝加竜骨牡蠣湯という漢方薬、おかげさまで効いているみたいなんですけど、桂枝が入っているそうですね。本当に飲み続けて大丈夫なんですか?」
「ひょっとして『週刊現代』を読んだんですか?」
「どうして分かるんですか!」
近頃、新聞の『週刊現代』の広告欄を見るたびに「やれやれ」と思っていました。医療に関する誹謗中傷シリーズです。週刊誌は実際に買わなくても新聞の広告欄の見出しで事足ります。これはと思って手にとって読んでも見出し以上の情報を得ることはほとんどありません。私がパニック障害でよく使っているデプロメールがやり玉にあがったときは、「患者さんたちはうろたえるだろうな」と苦笑いしました。さいわいにも最近は新聞を読む人たちが激減しているため、とうとうデプロメールに関しての相談はありませんでした。
「だいたい、『週刊現代』は週刊誌のなかでも二流紙で、売りはグラビアのヌード写真なんですよ。見たでしょ?」
こうなるとどっちが誹謗中傷か分からなくなります。
「今、一番元気でレベルが高いのが『週刊文春』、つぎが『週刊新潮』かな」
当院の待合室には置いていませんが、おむかえの「かわむら歯科クリニック」には両方ともそろえているので定期健診に行くときにチラ読みしています。
「大手新聞社から出ている『週刊朝日』や『サンデー毎日』の売りは大学受験合格率に関する記事、グッと落ちて『週刊ポスト』、そして『週刊現代』」
ちなみに女性週刊誌についてはまったく関心がなく、新聞広告に出ていても目にとめないのでノーコメントです。
ところで桂枝についてですが、本当に副作用はないのか? 桂枝はよく知られている漢方薬の多くに含まれています。葛根湯、十全逮捕湯、五苓散等々‥‥‥。まず、ほとんどといって良いくらい副作用の報告は聞いたことはありません。ちなみにオースギ製薬から四苓湯といって五苓散から桂枝を取り除いた漢方薬が発売されていますが、営業マンに「五苓散と比べて大きな売りは?」と訊くと、「桂枝に対してアレルギーのある人に向く」とのこと。あまり説得力がないのでまだ採用していません。
デプロメールはSSRIという抗うつ薬のなかで日本で初めて認可された薬です。古い薬は薬価が低く患者さんのフトコロに負担をかけないので、私はパニック障害の患者さんに第一選択として処方しています。デプロメールの何が悪いのかというと、飲み合わせの悪い薬が多く報告されているからです。その辺のところを注意すれば問題はありません。
『週刊現代』の見出しには大学病院の悪口も書いていました。必ずしも名医はいないと。これは当たり前ですね。私ももともとは大学病院にいたのでよく分かります。大学病院は新米でぺいぺいの医師を教育する機関でもあるからです。しかし、現在は管理体制が整っている(はず)なので、昔よりはマシだと思います。
この他、いろいろな治療法についてとやかく賑やかに書いていましたが、確かに当たっている部分もあります。とにかく主治医の先生に率直に相談してください。