佐野理事長ブログ カーブ

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第746回 忙酔敬語 チャッピー

 チャットGPTは手軽に何でも相談できるので最近では年配の患者さんも使いこなしています。最近ではチャッピーと呼ばれるようになりました。この患者さんとは以下のやり取りをしました。

 「実はわたしの症状をチャットGPTで調べたんですけど先生にいただいた漢方薬が出てきました」

 まあ、正解だったようです。

 「くわしく調べるのには情報をもっとインプットした方がいいですよ。今までかかった病気とかその治療とか」

 それでも結果は同じで患者さんは満足しているようなのでそれでOKとしました。

 チャッピーは学生も英語の抄録や論文を書くのに重宝しているようです。今ならスマホで通訳できるようになったので当然ですね。ただしチャッピー特有の翻訳なので英語を知っている査読者は一目で分かるようです。日本語でもチャッピーに頼って書かれたレポートは血の通っていない感じがして異和感を覚えます。

 3年前に秋山クリニックの槇本先生に東洋医学の特別講演をお願いしました。槇本先生は根っからの理系で、産婦人科医一年目のとき、ある大学の教授の講演で統計処理に問題があるのを指摘して教授を立ち往生させたことがありました。コンピューターも現在のパソコンよりも大型な数百万円もするタイプを使いこなし統計処理して博士論文を書きました。槇本先生の演題はやはり『AIと漢方』でした。結論は以下のとおりです。

・AIは現在、家庭の医学レベルの知識は持っている。

・上手に知らないことを教えて整理させる。

・教えられたことは忘れなくて、整理・検索は得意。

・知らないことでも、知ったかぶりをしてとうとうと述べる悪い癖がある。現時点では医 師のかわりにはならない。有能な秘書としては使える。

・生薬単体と組み合わせの薬効を少しずつ教え込んだのち、画像生成AIで作った美人の 画像で楽しく語らせる。

 はたして最後のスライドには槇本先生が作成した美人が登場しました。

 「汗ダラダラの人に麻黄と桂枝を含むクスリをあげちゃダメです。先生、またお忘れですか? あの処方があるじゃありませんか」

 毎日こんな風に勉強しているとのこと。相変わらずだなあ・・・。

 このようにチャッピーはあくまでも人間が入力した結果を述べているにすぎません。チャッピーの背景には入力した人間がいます。あとはチャッピーが情報処理して発展させています。槇本先生は自分で入力しているので美人と心中することはないでしょう。

 最近、外国でチャットGPTで遺書の書き方を調べて自殺してしまった子供の親がコンピューター会社を訴えるという事例がありました。チャッピーと相談しているうちにチャッピーが人格を持っているような気分になったのでしょう。子供の孤独さと思うと気の毒でなりません。北海道でもSNSのお姐さんに留萌から層雲峡に呼び出された高校生が突き落とされて亡くなりました。この少女も孤独でつらい生活を送っていたのでしょう。

 チャッピーは単なる道具です。感情移入してはいけません。