4月27日の新聞で、讀賣も朝日も第一面に「2070年には人口が8700万人となり、さらにその1割以上を外国人が占める」とセンセーショナルな記事が掲載されていました。
東京や大阪などの密集した地帯では、自然の摂理として住民は「もっと子供が欲しい」とは思わないだろうなあ、それにひきかえ我が屯田の周辺は空き地がいっぱいあり、赤ちゃんを3、4人生む女性は珍しくはありません。別に空き地で赤ちゃんを育てているというわけではありませんよ。ただ閉塞感がないということです。同じ札幌でも人口密集地ではこんなに生む女性はマレです。私はこの野生的な人々が好きで、ここで開業して良かったなあ、と思っています。
ところで気にくわないのが「外国人1割」です。排他的でイヤなこと書くなあ、と気分が悪くなりました。古代、日本に文化・文明をもたらしたのは中国や朝鮮といった外国の人々です。朝鮮の人たちの一部は弥生人にもとけ込んで、上皇陛下が現役で韓国に行かれた際、皇室は皆様と先祖を共有している的なお言葉を述べられました。日本人のなかには生理的に大陸の人たちを嫌う者もいるので、物議をかもすかもしれない、と危ぶみましたが、陛下のお人柄もあるのか私の知る範囲ではモンクをたれる輩はいませんでした。
当院にはロシア、フィリピン、タイ、中国などの女性が来院し、お産もします。ロシア人の妊婦さんが受診したときは、シベリアに抑留された父からもらった小樽観光局のガイドブックを片手に「ズラーストヴィチェ(こんにちは)」と言ったら、心を開いてくれ「実はお腹の子の本当の父親は・・・」みたいな話になりましたが、結局は無事に元気な赤ちゃんが生まれ、「ハラショー!(良かったね)」となりました。
最近、気になるのが本国に問題のある患者さんたちです。
中国内モンゴル地区出身の大学院を卒業した女性。ストレスがたまると本国に帰って馬を乗り回していましたが、中国当局の圧力でモンゴル語が禁止になるとのことでした。私は頭に血がのぼり、思わず「日本に帰化しなさい!」と言ってしまいました。同じ民族である北のモンゴル国に行っても、面積は日本の4倍ですが人口は300万人で、これといった産業もなく、人口の半分が首都のウランバートルに住んでいます。この少数民族が2000年以上にわたって漢民族を苦しめてきました。その面影は今も健在で、幕内力士で活躍しているモンゴル勢を見ても納得するでしょう。
私は戦争反対の平和主義者ですが、戦争に強い民族を尊敬するという矛盾した癖があります。だから世間が日本人力士を応援しても、一人で「照ノ富士頑張れ、いいぞ霧馬山、さすが玉鷲!」と興奮しています。
ベトナムもモンゴル帝国を撃退し、フランスやアメリカも破った強い民族です。経済的にはまだおぼつかなく、日本で働く人が増加しています。さいわい、日本ではかれらに対しての保健医療制度が整っているため、当院でもベトナム人の患者さんが増えています。共通して言えるのはとにかく忍耐強いということです。言葉が不自由なのに本国に送金するために2年も3年も日本で頑張っています。
豊かな生活が続いていると人間はだらけてきます。古代ローマ帝国(映画『サテリコン』参照)、そして今の日本人がそうです。活を入れるためにもベトナム人のようながんばり屋さんが人口の2割になろうが3割になろうがかまわない、と私は考えています。