佐野理事長ブログ カーブ

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第578回 忙酔敬語 フライドチキンとザンギ

 タカアンドトシさんは出身地を大事にする方たちで、仙台出身のサンドさんと共通しています。タカさんがふくれっ面をして「北海道に帰ってホットシェフのフライドチキンが食べたい!」に触発されて、運転中、小腹が空いたのでホットシェフの新川店に立ちよったことがありました。フライドチキンと一緒に同じ値段でザンギが売られていました。

 「フライドチキンとザンギはどこが違うんですか?」

 小母さん風の店員がキッパリと答えました。

 「味が違います!」

 プッと吹き出しそうになりましたが、とりあえずフライドチキンを購入しました。

 ザンギは北海道を中心とした鳥の唐揚げの方言です。しかし、私の子供の頃はザンギとは言っていませんでした。「なまら」みたいに若い世代の方言なのでしょう。昔、母はときどき鳥の唐揚げを作ってくれましたが、コツは衣に片栗粉を入れて表面をカラッとさせることでした。私は「カラッ」としているから唐揚げだと思い込んでいました。 

 さて、フライドチキンとザンギの違いを調べてみましたが、明快な答えは見つかりませんでした。

 私は患者さんや妊婦さんの職業を確認しています。生活背景がつかめるからです。そんなある日、ホットシェフで働いている妊婦さんに遭遇しました。

 「フライドチキンとザンギの違いは何ですか? 新川店では味が違うと言われたんですけど」

 「えっ!そんなこと言われたんですか? これははっきりしています。フライドチキンは衣に味がついているのに対して、ザンギは肉に味をしみ込ませてから揚げます」

 ザンギと判別が難しい一品として竜田揚げがあります。当院の管理栄養士Oさんに確認したところ、どっちも同じような物とのことでした。

 ついでに片栗粉については、当院ではフライドチキンにも衣のなかに入れているそうです。どおりでカリッとしていたわけだ・・・。

 ということで、当院のメニューでは、鳥を揚げた場合はフライドチキン、マグロなどの魚を味つけして揚げたおかずは竜田揚げとしています。

 ケンタッキーフライドチキンは、それほどカラッとしていないので、おそらく片栗粉は入っていないと思います。アメリカはそもそも中国と違った文化なので、料理に片栗粉を使うことはほとんどないようです。

 私はザンギという言葉がキライです。何となく居酒屋くさい。よく調べてみたらやはり釧路の居酒屋が発祥らしい。よい子には唐揚げがふさわしいと思います。

 逆に子供の頃によく使われていたのに、最近使用頻度が減少した言葉として「トウキビ」があります。トウモロコシなんてまだろっこしい言い方はキライでした。父方の本家のある山梨県南巨摩郡南部町内船では、さかんにトウモロコシと言うので、どうしてスッキリとトウキビと言わないんだ、と異和感をいだきました。ところでこの「まどろっこしい」を調べてみたら、何と甲州弁だということが分かりました。どおりで「まどろっこしい」表現をするはずです。しかしながらトウキビはだんだん絶滅危惧となりました。夏の大通公園では、わざとらしく「トウキビ」が売られていますが、かえって腹が立ちます。