「ミレーナを入れると太るんですか?」
生理痛で苦しんでいたためにミレーナを装着した患者さんが訊きました。
今では生理痛はなくなり快適そうでした。そして生理の量も格段に少なくなりました。ミレーナは黄体ホルモンを子宮内に装着するための製剤で、「過多月経・月経困難症」の適応で保険診療が出来ます。直接子宮内膜に作用するので、ホルモン量は経口で摂る黄体ホルモンの200分の1ですみます。そのため黄体ホルモンが血中に出ることはほとんどありません。理論的には太ることはありません。
「まあ、生理の量が減ったんだから、その分、外に出て行った栄養が体重の方に回されるってこともありますね」
子宮筋腫のため大量出血で真っ白になった患者さんが、子宮摘出後、赤ら顔になり丸々と太った例を思い浮かべながら答えました。そしてカルテをめくっているうちに、1年前に職場のストレスで精神的に追い込まれて治療したことがあることに気づきました。
「あれからどうなりました? 気分良く仕事していますか?」
「あんまり変わりません。家に帰ったらムチャ食いすることもあります」
「あれあれ、それは大変ですね。体重が増えたのはムチャ食いのせいだと思いますよ」
患者さんはやっと納得して、寂しそうに笑いました。
「食事制限しているのにちっともやせないんです」
さっきとは別の更年期がらみの患者さんが言いました。体重はすでに80㎏ごえ。確かにポッチャリを通りこした状態でした。
「炭水化物ダイエットをしています。夜は豆腐と蕎麦、昼はふつうのお弁当です」
「蕎麦を抜いて豆腐だけ、豆腐は3丁食べてもいいですよ。昼のご飯は半分!」
炭水化物ダイエットに成功した経験のある私は冷たく言いはなちました。
「お豆腐3丁なんて食べきれませんよ。それに好きなご飯が半分だなんて悲しいです」 蕎麦は太らないと信じられていますが、蕎麦のカロリー源は炭水化物です。私はダイエットを始めるにあたって、それまで月に3、4回食べていた大盛り蕎麦をキッパリと断ちました。ダイエットを始めたきっかけは体重が76㎏以上になりスーツがキツキツになったからでした。ご飯も当直の検食以外は止め。パンには一切手を出しませんでした。ラーメン、パスタなども原則禁。代わりにマックスバリュで販売されている120g入りの煎り大豆1袋を毎朝食べています。おかげで「アレヨアレヨ」という感じで体重は減りました。当初、72㎏を目標にしましたが、はずみで68㎏までになりました。ハイ、8㎏減です。
こうなると今まで着ていたスーツがガフガフになりました。昨今はピッタリとしたスーツが流行なので新たにスーツを3着購入しました。また、めったに使いませんが礼服も新調しました。なんせ結納返しとしてもらった礼服が30年以上もたった今、本当にブッカブカ。結婚当時、私は85㎏もあり本当のデブでした。上がったり下がったりの人生です。 しかし、昨年はコロナのため学会や会議はのきなみ中止。スーツを着る機会がなく緊張が緩んでジワジワとコロナ太りとなり現在70㎏まで回復?しました。まあ、その気になればいつでも落とせるとタカをくくっていますが、すでに普段着のジーンズはキツキツ。新調のスーツが着られなくなるかもしれません。気を引きしめていこうと思っています。