佐野理事長ブログ カーブ

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第756回 忙酔敬語 風邪の名前

 4月から妊婦さんへのRSウィルスワクチン(アブリスボ)の費用が自治体から助成されるようになりました。妊婦さんがワクチンを受けるとお腹の赤ちゃんも抗体を持つようになり生まれてからの半年間、RSにかかる率が激減します。RSウィルス感染は人間なら100%かかりますが、生後半年間は重症化する例が多いので、アブリスボはお母さんから赤ちゃんへのプレゼントとまで言われています。ワクチンに対する考え方は人それぞれで、上の子のときは大変だったので喜んで受ける人もいれば、大したことはなかったので受けないという人もいます。

 そもそもワクチンの有用性について疑問を抱いている人は医療者にもいます。ワクチンを推奨する立場の元・国立公衆衛生センター長の母里啓子先生は『もうワクチンはやめさない』という本を書かれています。たとえばジフテリアなんてもう世界中にもほとんど流行していないのでワクチンは百害あって一利なしだと述べています。私はこの意見には反対です。ほとんど流行していないからアブナイのです。免疫を持っていない人が多数を占めていれば流行りだしたらパンデミックとなります。それに対して麻疹が流行していると報道されていますが、ワクチンを受けている人がほとんどなのでたかが知れています。

 風邪のウィルスはRSウィルスの他にコロナ、インフルエンザなどが知られていますが、私が幼少のときはそもそも名前のない風邪がほとんどでした。お腹をこわすウィルスも今ではノロウィルスとかロタウィルスとかありますが、昔は風邪かお腹をこわしたかで名前はありませんでした。しかし治療法は現在とほとんど同じでした。熱が出たらメチロンという解熱剤を注射されました。お腹をこわしたらブスコパンです。ブスコパンは痛いのでイヤでした。打たれる前から泣いていました。

 熱がなかなか下がらないと、往診してくれたお医者さんはちょっと考えてからペニシリンの混濁液を注射してくれました。混濁液なので注射針は太くお尻に打たれましたが刺激がないのか痛みはほとんどありませんでした。そしてその一発で熱は下がりラクになりました。ですからアレルギー反応がないか前腕で皮内テストを受けると(今は行われていません)やっとラクになると期待感が増したものです。1回や2回ではありません。60年以上も昔の記憶ですが、4、5回は経験したはずです。

 「あれは何だったんだろう?」

 小児科の笹島先生に尋ねました。

 「たぶん溶連菌ですよ。ほうっておいたら猩紅熱になって腎臓や心臓がやられたでしょう。慢性腎炎とか心臓弁膜症とか・・・」

 恐ろしいことを言ってくれました。昔のペニシリンは切れ味がよく、溶連菌もウブでした。一発で勝負がつきました。それにしても何回も死に損なっていたのでした。

 その頃は抗インフルエンザ薬はなく、当然、インフエンザにかかったら解熱薬でしのぐしかありませんでした。平成になってからインフエルエンザ検査キットやタミフルも登場しました。インフルエンザワクチンについては私は疑いを抱いていました。ワクチンを受けても発症するからです。コロナのワクチンはもっとタチが悪く、ワクチンによる熱の方が本物のコロナよりつらかったと言う人までいます。ワクチンもいろいろです。ただし種痘によってWHOがラジオで天然痘の撲滅宣言をしたときは涙が出るほど感動しました。