佐野理事長ブログ カーブ

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第736回 忙酔敬語 体重測定でわかること

 ピルを処方するときは患者さんの体重と血圧を測定しています。本来、ピルとは英米では錠剤もしくは薬物一般のことを意味していますが、日本では避妊用や月経痛治療薬の低容量ピルのことをさしています。多くは黄体ホルモンと卵胞ホルモンとの合剤です。黄体ホルモンはほとんど副作用はありませんが、卵胞ホルモンはマレに血栓症を引き起こすことがあるので注意しなければなりません。

 その対策として血液検査をすることがありますが、急激な体重の増加や血圧の上昇でもリスクは察知でき費用がかかりません。血液検査は血栓以外の異常も察知するので当院では年に1回か2回行っています。

 ピルの処方は通常3ヵ月ごとです。ここで感心するのは多くの女性では体重の変動が少ないということです。せいぜい100g、多くて300gくらいです。私自身、毎日体重測定をしていますが、1日で200、300gの上下はざらで場合によっては500gくらい上下することもあります。

 昔は年末年始のご馳走続きで年明けに2,3kg以上体重が増えている妊婦さんはざらでしたが、昨今、毎日がご馳走なのかほとんど大きな変動はなくなりました。だからよけい体重の変動の少ない女性が気になるのです。

 体重が3ヵ月で6㎏減った女性がいました。「何かあったのですか?」と聞くと急に泣き出しました。何でも職場でパワハラがあり転職も考えているとのこと。逆に4㎏増えた女性はこれまたパワハラでやけ食いして、もう少し頑張るとのことでした。このように体重計測の結果にもいろいろなドラマがひそんでいるのです。

 血圧測定は体重測定よりももっと短期間の変化をものがたります。時間がなくてあわてて受診すれば血圧は140mm/Hgくらいにはなります。昨年より体重測定と血圧は指定した場所でご自身で計測してもらっています。緊張する傾向のある方はいくらかリラックスできるので安定した結果がでるようです。私は本来気が小さいので4年ほど前に大腸検査を受けたさい、「まず血圧を測りましょう」と言われて腕を差し出しましたが、結果は上が156mm/Hgで「ちょっとお高いですね」と言われてしまいました。結果が癌でも覚悟はできているつもりでしたが自律神経は正直でちょっと恥ずかしい思いをしました。

 当院での体重測定と血圧測定は中庭を背にした目だたない場所で自己測定してもらっています。ですから今までよりも緊張することもなく安定した血圧が測れます。体重は寒い時期よりは薄着になったので減るかと思いきや大して変わりません。たまにダウンを着たままあっけらかんと測定して少しくらい増えても動じない若い女性もいます。そんな女性の血圧は安定しています。

 ピルを服用していない患者さんでも血圧・体重を測定している方がいます。もともと糖尿病の傾向がある人だったので体重が増加したときに血液検査をしたところ傾向どころがハッキリとした糖尿病と判明しました。紹介先の糖尿病専門外来の先生がいい方で「ちょうど良いタイミングで紹介してくれましたね」と言ってくれたそうです。糖尿病薬を処方する前に食事指導ということになりました。5年前も注意したんだけどなあ・・・・。 でもとりあえずは良かったです。長期の患者さんには薬を処方するだけでなく、お金のかからない体重・血圧測定も適宜するべきだと実感しています。