女性にとって月経は面倒なものです。妊娠するたの準備を月に1回ほど行い、妊娠が成立しなければリセットするのが月経です。たいていの方はそんなものかと平気ですが、痛みをともなうようになると大変です。月経痛には子宮内膜症や支給腺筋症がひそんでいたり、あるいは将来、それらの病気になる危険性があります。
これまでは低用量ピルでしのぐことができましたが、低用量ピルには血栓症のリスクがあるため、喫煙者や高齢者、あるいは肥満の女性には注意が必要でした。そこで登場したのが黄体ホルモンだけで構成されたジエノゲストです。生理痛だけだったら0.5mg錠、子宮内膜症や子宮腺筋症の治療には1.0mg錠が使われています。
ジエノゲストはひたすら飲み続けることで生理は止まります。ただしすべてがピッタリとまるわけではなく、多くの場合、不正出血が生じます。持田製薬のパンフレットには1、2週間服薬を中止すれば出血は止まると記載されています。私はそんなに待つのも気の毒だと思って、トランサミンといった止血薬やルトラールやノアルテンなどの黄体ホルモンをつけ加えることで血を止めてきました。
昨年の9月13日(土)の持田製薬主催の講演会で大阪で開業している山中章義先生がジエノゲスト服用中の止血のコツを教えてくれました。不正出血が3日続いたら4日間ジエノゲストの服用を中止して5日目から服用を再開するという方法です。これは連続投与ピルのヤーズフレックスのパクリです。私は山中先生に「それでは持田製薬はパンフレットの内容を変更しなければなりませんね」とたずねました。関西人の山中先生は「そんなことをしたら持田製薬は何千万円も損をします」と大人の対応をしました。
それ以降、ジエノゲストを呑んでいて出血するという患者さんにはヤーズフレックスの説明書をかざして写メしてもらいながら説明することにしました。以来、出血の患者さんは激減しました。それまでルトラールやノアルテンを追加していた患者さんもジエノゲストのみで何とかなるようになりました。
そんなある日、きりっとした雰囲気の患者さんに説明したところ、「写メは必要ありません。3、4、5で覚えました」とキッパリ言われました。なるほど「3、4、5」ね、頭の回転の良さに感心しました。それ以来、「3、4、5」で説明していますが、やはりヤーズフレックスの説明書を写メする方が大勢を占めています。
たまにですが、ジエノゲストのために体重が増加する患者さんもいます。そんな場合はルトラールかノアルテンに切りかえていますが、これらの薬にも「3、4、5」は応用できます。ついでに更年期のホルモン補充療法でもさらにマレですが出血する患者さんがいます。これまで7日間休薬するように指導してきましたが、これも「3、4、5」で対応しています。
9月13日の講演会に参加した婦人科の医師は10人ほどでこぢんまりとしてましたが、こういった地味な内容の講演が日常診療に役立ちます。製薬会社の営業マンは本来MR(医薬情報提供者)と言われ、薬剤の正しい使用法などを知らしめる役割があります。薬を売ってなんぼのもんではありません。山中先生の講演の内容は今後は持田のMRが広めていくべきです。以前、キッセイのMRが流早産予防のリトドリン内服薬が無効であると知らせてくれました。以来、私はキッセイ製薬に対して信頼の念を抱いています。





