パー子とは私の万年筆です。3年前に長年働いてきたということで北海道医師会から贈呈されました。イギリス製のパーカーなのでパー子と名づけました。このパー子がなかなか言うことをききません。午前中は何とか働いてくれますが、午後になるとご機嫌ななめになってインクの出が悪くなります。そして1年もしないうちに手から滑り落ちて、ペン先から床に衝突してペン先が曲がってしましいました。セントラル藤井に行って見てもらったところ、ペン先を取り替えなければダメとのこと。費用は何と2万円以上!取り替える価値があるのかと万年筆全体の値段を確認したら5万円超えのシロモノでした。
修理を終えてもパー子は気分屋でした。業を煮やしてまたセントラル藤井に行ったら、万年筆コーナーのお姉さんは実に親切にパー子の掃除をしてくれました。そして以下のパンフレットをくれました。
~万年筆をお使いになるお客様へ~
以下の要領で万年筆をどうぞ大切にお使いくださいませ。
1週間に1度は使ってあげると、インクづまりがしづらいです。長い間使わない時は、インクを抜いて洗浄して保管してください。万年筆は寂しがり。
(オレはほとんど毎日使っているのになあ・・・・。パー子は特別に寂しがり屋なのか・・・・?)
①カートリッジを替える時は、本体を一晩コップの中に入れておきます。
②水道の水を細く出し、インクの色が消えるまで水洗いをしてください。
③柔らかい布で水分をふき取ってください。
パー子がご機嫌なときは字がスムーズに書け、こちらもご機嫌になります。私は筆圧が弱いので、ある程度の力を必要とするボールペンは使いたくありません。とくに検査結果を患者さんへ送るときの○つけにはパー子はうってつけです。
筆記具にこだわる私は最悪の悪筆家です。年を経るごとに事務泣かせの字を書くようになりました。外来ナースのKさんは私が書き終えたカルテの点検という余計な仕事に精を出してくれます。これも電カルシステムになるまでの辛抱です。許してください。
パー子があみ出す字は太くて大きくて私の目には最適です。かたや若い阿部先生の字は年寄り泣かせの細くて小さい字です。おまけに最新の略語で書くので何のことやら分からず、阿部先生にカルテを回すこともしばしばです。
ここで思い出したのが日本伝統の筆書きです。江戸時代まで日本人は筆でサラサラと流れるような字を書いていました。いわゆる草書です。私も草書だったらいけるかもしれません。草書は楷書、行書をさらに崩したのもです。しかし崩すのにもルールがあるので私が崩した字は、やはり誰も読めないでしょう。
さらに思い出したのが空海(弘法大使)の書です。国宝になっていて、楷書(行書?)で延々と崩れることもなく書き綴っています。内容は分からなくてもこのエネルギーはとても常人とは思えません。「弘法も筆の誤り」と言われていますが、ようするに大天才です。かたや私は誤りだらけです。パソコンの時代に生まれて良かったなあ・・・・。





