当直していて、本も読みあきた、新聞のテレビ欄を見ても面白い番組もない、CMはうざったい、というときがあります。そんなとき放送大学をチェックします。たいていはつまりませんが、たまにヒットすることがあります。
薬と妊娠についての講義がありました。今さらと思いながら観たところ、非常に参考になりました。胎児が育つ時期によっては臓器の成長が異なり、たとえば妊娠10週を過ぎると心臓はすでにできあがっているので、心臓に影響されると言われていた薬の影響はありません。ここで思い出したのが双極性障害に使われるリチウムです。どのテキストを見ても妊娠中は絶対禁忌と書かれていますが、案外、3ヵ月を過ぎれば心配はないんだ、と分かりました。
また、奇形の率が1000に1つと言われている薬は、まず安心して良いということ。そもそも赤ちゃんはすべて正常に育つことはなく、外形や内蔵などの奇形は2、3%を越える、そのような状況で1000分の1の確立は無視してよい、なるほどなと思いました。これが理系の考え方です。昔、ある学会で「その治療で赤ちゃんは万が一の心配はないのか?」と質問されたことがありましたが、このように理路整然と説明したら格好良かったのになあ、と今になって残念に思いました。
北アメリカの歴史も良かった。私がたまたま観たのは1776年の独立戦争前までの回でした。日本では江戸時代です。こんな短い間にアメリカ合衆国として、幕末には日本にまで黒船としてやって来て、日本中を震撼させたのです。
イギリスから新天地をめざしてきたアングロサクソンが、これまたフランスから逃げてきた人たちと先住民を相手に戦争をしました。いわゆるフレンチ・インディアン戦争です。結局、イギリス人の勝利となりましたが、アメリカ先住民の各部族は大打撃を受けました。西部劇でも知られているようにインディアンの多くは勇猛で、その後もアングロサクソンの開拓民を悩ませましたが、長い迫害のすえ、現在では影のうすい存在となっています。 それに対してアフリカから奴隷として舟にぎゅうぎゅう詰めにされて運ばれてきた黒人たちは、劣悪な輸送で18万人も死亡したそうですが、アメリカに着いてからは大きな反乱もしないで人種差別に耐える歴史を刻んできました。そして、現在、二人の国務長官(パウウェル氏と女性のライス氏)と大統領(オバマ氏)まで登場することとなりました。人種問題はいまだに続いていて、黒人と白人がおおっぴらに結婚することもマレですが、とにかく原住民よりも存在感があるのです。
ここであらためて思ったのは、とにかく戦争はムダだと言うことです。ウクライナもロシアに占領されたくないのでいまだに戦っていますが、これまでの犠牲者のことを思うとやりきれなくなります。「誇り」などすてて、とにかく生きぬくことです。生きていればいずれは発展するチャンスはあるはずです。アメリカ黒人の歴史を見ろ!と言いたいところですが、今生きている人たちにあと200年耐えろと言うのは酷というものです。しかし、スラブ人どおしで民族間にそれほど大きな隔たりがないので、数十年のガマンで何とかなるのではないかと思います。何とかなるというのは誇りを取りもどせるということです。
第2次大戦では、普仏戦争と第1次大戦に懲りたフランスは、早々にナチスドイツに降伏しました。しかし、戦死したのは30万人程度ですみました。とにかく戦争はダメです。





