佐野理事長ブログ カーブ

Close

第665回 忙酔敬語 全粒粉のパン

 9月から当院で提供するパンは全粒粉となりました。私は患者さんにダイエットをするなら白米と白い小麦粉は食べるなと指導しています。自分自身もできるだけそのように頑張ってきましたが、全粒粉のパンは食べることにしました。

 これまでのパンは小さいクロワッサン、ロールパン、クリームパンと女子受けするような3選セットでした。どれも口当たりは良かったのですが、お菓子みたいでなんだか体に悪いな、という感じがしました。

 これからは全粒粉の丸パン2個、あるいはコッペパンが1個、あるいは食パンが3枚とガッツリ系になりました。口当たりはちょっとザラザラしますが、体に良い物を食べている!という感じで罪悪感がありません。以来、パン食は敬遠しないで完食しています。

 どこが良いのかというと、まず繊維質が多い、ビタミンB1が多い、糖質はやや控えめといった具合です。塵も積もれば山となるで、回を重ねて食べているうちに体重はコントロールされることでしょう。繊維質が多いので摂取されるはずのカロリーはあるていど便となって出て行くはずです。

 家で全粒粉のパスタだと言われて食べさせられたスパゲティは不味かった。妻は「体に良いし、美味しいはずだ」と言い張っていましたが、それ以来、ふつうのパスタになったので、本当は妻も不味かったと思ったのでしょう。ちなみに現在はスパゲティを用意されても、ソースは炊いたオーツ麦にからめて食べているので問題はありません。

 でも本当言うと白米と精製小麦は確かに美味い。勉強会のおりに提供されたお弁当のご飯があまりに美味しくてウットリしました。パリを旅行したとき、早朝にクロワッサンを購入したところ、これまた他に何もいらないくらいに美味しかったのでビックリしました。まだ幼かった娘たちが、そのクロワッサンを帰りの飛行機で食べていたら、客室乗務員のお姉さんが「あら、美味しそうですね」と言ってくれました。このお姉さんもパリのクロワッサンの味を知っているんだ、と思ったことでした。ちなみにパリで「クロワッサン」と言っても通じません。鼻に抜けるように「クワーッサン」と言わなければなりません。当時、フランス語を習っていた妻に教わったように、職人の小父さんに「トゥレ クワーッサン シュルルプレ」と言ったら見事に通じ、小父さんはニコニコしながら3個のクロワッサンを包んでくれました。

 人間の主食は基本的にイネ科の穀物です。米が摂れなければいわゆる雑穀が代替えとなります。昔、カチカチ山を読んでいたら、捕まえたタヌキを目の前にしたお爺さんが「婆さん、タヌキ汁にして粟の団子を入れて食べよう」というシーンがありました。粟の団子ってそんなに旨いのかと思い、自然食品屋さんで「餅粟」を購入して炊いてみました。粟は「雷おこし」の材料です。食べてみたら「雷おこし」-「甘み」となり、奇妙な味が口中に広がりました。これじゃあ、みんな白米のご飯に憧れるはずだと心底納得しました。

 同じ雑穀でも蕎麦はイネ科ではありません。私は「なみ喜」の十割蕎麦が大好きです。初めて店に行ったとき、板蕎麦の特盛りを注文して、その量の多さに閉口しました。爆食い選手権みたいに目を白黒させて食べましたが、その後は大、今は中で落ちついています。食べ過ぎても炭水化物以外の成分がバランスよく入っているからか胃にもたれることはありません。反対にそうめんは6束も食べると胃がダボダボして後悔することになります。