毎週金曜日の午後7時25分にテレビ東京系で放映されている番組です。
モンゴルの民族衣装を着た千鳥の大悟さんが、ポポという3歳のヤギを連れて、田舎で「除草のお手伝いをします」と言いながらさすらうという、いたってユルイ内容です。
主役はあくまでも雑草をもりもり食べるポポで、大悟さんは脇役です。最近、注目されるようになり、収録中、ファッション雑誌『an・an』の取材を受けました。
「ほんまにあの『an・an』か?」と大悟さんは驚いていましたが、あの『an・an』でした。
「千鳥は相方のノブが突っ込みでワシはボケ、この番組ではワシが突っ込みせにゃならんので、いかにノブが大変か分かりました」
ノブさんはお肌ツルツルで健康そうですが、大悟さんは1日数百本という超ヘビースモーカーです。映像でもお肌が荒れていてちょっとアブナイ感じがしました。
この『ヤギと大悟』は、いかにもノンビリして、お笑いのならいとして緊張から解放されることはないでしょうが、それでも体に良さそうです。こころなしか回を重ねるごとに大悟さんの顔色が健康そうになっていくような気がします。
場面場面に大悟さんのポポに対する愛情を感じます。破天荒な人生を歩んできたようですが、本当はいい人なんだな、と思いました。
夕方、ある農家さんを訪問したとき、「ほら、ポポのこの辺にまだ草を入れなきゃあかんのですわ」とポポの脇腹をやさしく撫でるシーンがありました。ポポは嫌がるふうでもなく口をモグモグさせていました。
ヤギはウシの仲間なので胃が4つあり、食べた草はまず植物繊維を分解するバクテリアの住む第1の胃に収納されます。落ちついたところでゆっくり反芻してから第2、第3、第4の胃へ運ばれます。ウシ科の動物は草食哺乳類のなかで完成形の消化器構造をしていますが、あまり美味そうでもないので、私は人間に生まれて良かったと思っています。
しかし、ポポの様子を見ると、ヤギなりに好ましい草とキライな草がありそうで、好ましい草は勢いよく食べてしまうので、大悟さんがあきれたように、「なあ、ポポ、これ以上の収録は無理やな。今日はもうお終いにしようか?」と言うこともあります。
ポポは満腹になるとそのまま寝てしまいます。主人公はあくまでもポポなので、大悟さんとスタッフはすることがなくなりポポが起きるまで収録は原則ストップとなります。
しかし大悟さんはお笑い芸人のならいで、番組をもりあげるためしゃべくり続けます。脇役とは言いながらこれがけっこう面白い。主人公のポポだけじゃダメだし、脇役も大悟さんじゃなきゃダメでしょうね。
お笑いの世界がいかに厳しいかは、又吉直樹さんの『火花』を読むと分かります。お笑いをめざす徳永は狂気じみた神谷の弟子になります。ここまで頑張らなきゃいかんのか?と気の毒になります。しかし、いま一つ登場人物のイメージがつかめません。映画化されたというので、その予告編の動画を見ました。徳永を筒田将暉さん、神谷を桐谷健太さんが演じていました。このキャラの立つ配役でイメージがつかめました。
芸だけではダメ、キャラが立たなければいくら頑張ってもダメです。大悟さんの相方ノブさんも、NHK『突撃!カネオくん』の声を担当して、「そうじゃのう」(岡山弁)とオジさん声で好いアジを出しています。千鳥は2人とも岡山県民と知り納得しました。