院長ブログ カーブ

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第518回 忙酔敬語 闇を歩く

 私の1日の始まりは世間一般の人たちよりも2時間ほど早いようです。4時30分に起床して5時過ぎに家を出発。スパイクつきのブーツで暗い雪道を踏みしめて50分ほどかけての出勤です。できるだけ車や人通りの少ないルートを選んで行きます。冬至を過ぎたばかりですから病院に着くまで道のりは真っ暗。天気の良いときはオリオンなど冬の星座を鑑賞することができます。寒ければ早足、暖かければそれなりの早さで自動的に速度が決まります。吹雪で見通しがつかないときは(めったにありませんが)ゴーグルを装着することもあります。こんなときはタクシーだって連絡がつかないので、一歩一歩としっかり歩く方が確実です。何を好きこのんでですって? ハイ、趣味といってもよいほど冬道を歩くのが好きなのです。好きがこうじて、10月からは「通勤日記」に天気、気温、服装、道ばたに咲く花、ときにはキツネに出会ったことなど記載しています。

 当然、夏も歩きですが、汗ダクダクになるのでかえってゆっくり歩きます。今年の夏はひどかった。観測史上最悪の日照りで雑草もまばら。おかげで市民農園で草取りをする手間が昨年の半分以下でした。ジャガイモだけが元気で、8月のお盆過ぎに収穫しましたが、それでも今年の北海道は不作だったとのことでした。はじめてのジャガイモ栽培でしたが種芋を撒いただけで、あとはほったらかしにするという農法はラクチンで、やはり土地に合った作物を植えるべきだとシミジミ思いました。よし、来年は大収穫してポテトポテトの毎日を送ろうっと。

 日照りで雑草さえやられましたが、私のカラダもやられました。冬場は一気に9㎞歩いても平気だったのに、右足のつけ根に痛みを感じるようになりました。病院に着いたら3階の医局まで2段上がりで階段を登っていたのに、手すりに手をかけて、無理をしないように気をつけなければならなくなりました。

 「あーあ、オレも年か・・・、鍛えれば壊れるようになってしまった」

 ところが秋になると不思議と痛みが消えて、ふたたび不自由なく歩けるようになったのです。今までのペースをとりもどしました。今は寒くはありますが、まだいけるな、と自信を取りもどしています。雪道はクッションとなり膝にやさしいのです。

 それでも体力と記憶力の衰えはどうしようもありません。体力の衰えに対しては、こんなはずじゃない、とあらがわないでそれに応じた対応をしています。20年前だったら同じ距離を40分で歩き、5歳くらいの幼児がお婆ちゃんに「あのお兄ちゃん、歩くの速いね」と言い、お婆ちゃんは「脚が長いからだよ」と答え、意気揚々となりました。こういった褒め言葉はいつまでたっても忘れません。記憶力の衰えはスマホの「メモ」でおぎなっている、というか、頻用しています。手もとにスマホがないときはメモ用紙に書いて胸ポケットに収納します。自分の脳を信じないことで何とかしています。

 さいわい物事に対する感性はまだ冴えています。今年の学会や勉強会はすべてオンラインでしたが4題ばかり発表しました。そのうちの一つはささやかですが、新しい発見です。スマホ、パソコンを多用するために肩こりになる人があとをたちません。女性の場合、肩こりが高じて下腹部が痛くなることがあります。そんな患者さんに肩こりの特効薬である葛根湯を処方したところ、全員ではありません肩こりも腹痛も2、3日で治りました。 

 来年もこんな調子で頑張ります。みなさんもよいお年をお迎えください。