今年4月の讀賣新聞のコラム広角多角に「酒は百薬の長にあらず 酒量を減らすコツ」という記事がありました。書いたのは飲酒歴40年の山口博弥編集委員。
1980~90年代の国内外の研究では、少量のアルコール摂取は死亡リスクを減らすという報告が大勢を占めていましたが、2018年の英国医学誌ランセットに「アルコールは百害あって一利なし」みたいな報告が掲載されました。ランセットは権威ある雑誌で、日本も含む各国の研究でも、その後、アルコールはたとえ少量でも害になるというデーターが続出しました。30年前の研究報告は一体何だったんでしょうね。
アルコールがどのくらいヤバイのか? ブラックドラッグのワースト6位から1位を紹介します。第6位がたばこ。近年、映画やドラマからも喫煙シーンが見られなくなりましたが、アルコールよりはマシのようです。実際、飲酒運転での事故は悲惨ですが、タバコが原因で交通事故って聞いたことがありませんよね。第5位が麻薬のコカイン。日本では馴染みがないので実感がわきませんが、とにかく第5位です。第4位が覚醒剤メタンフェタミン、第3位がクラック・コカイン。コカインとそんなに違いはありませんが、クラック・コカインは煙草のように手軽に吸うことができます。第2位が代表的な麻薬ヘロインです。煙草以外は日本では取り締まりの対象になっているのでピンと来ませんが、とにかくアルコールよりはマシなのだそうです。そしてアルコールは堂々の第1位です。
酒飲みの山口さんにとってショッキングなデーターでしたが、それでも彼は害を上回る「益」を感じているためやめるつもりはないそうです。ただ、飲酒後に寝ると、真夜中や早朝に目が覚め、休肝日に比べると確実に睡眠の質が低下しているのが分かる、何とかして酒量を減らしたい、ということで筑波大学准教授(総合診療「アルコール低減外来」)吉本尚先生を取材しました。自分のためかつ新聞記者としての使命です。
一つ、お酒の買い置きはしない。一つ、缶ビールはその日に飲む分だけ冷蔵庫に入れる。一つ、氷や湯で割る焼酎やウィスキーは飲む分だけコップに注ぎボトルはしまう。そして注いだコップの分だけで水割りなどを作る。一つ、値段の高いお酒を買う。
昔、浴びるように飲んでいた私にとって減酒なんてユルくてナンセンスです。ツマの厳重な管理下で自由に使えるお金は限られていたので、アルコール量に換算して一番安い焼酎を購入していました。常々、取っ手のついている4リットル入りのボトルを見て、「これに手を出すようなら人間終わりだな」と笑っていましたが、気がついてみたら4リットルのボトルを買っていました。ただし25%の焼酎はストレートで飲むと食道を傷つけるので20%の焼酎を購入しました。25%の方がアルコールに換算すると安いのですが、バカなりに食道癌にならないように気をつけたのでした。帰宅してからまず1杯グッと飲んでから水道水をすかさずもう1杯。これで食道や胃の負担を防いだつもりでした。そして食前に1杯、食後に1杯、寝る前に1杯と1日に4杯飲みました。週に2、3回の当直が休肝日でした。そう、当直はカラダに良かったのです。ところが60歳を過ぎたある日、ヒドイ酔い方をして、ここで病院から呼び出しが来たらアウトだ!と危機感を覚えて1年間、飲酒は完全にストップ。酒飲みの私を知っている人たちはビックリしたようです。えっ、佐野が酒やめたって?!その後はごくたまーに少し飲むだけで押さえています。
以来、体調はすこぶる良好。ランセットに書いてあることは真実です。