院長ブログ カーブ

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第509回 忙酔敬語 コウジン石鹸

 大木製薬から販売されている石鹸です。大木製薬の主力製品は医療用の正官床コウジン末です。いわゆる朝鮮人参を加工したものです。

 私の師匠である下田憲先生は、「ソウルの街角で売っている人参はクズ人参で、上物はほとんど日本に入ってくるんだよ」と言ってました。私は疑い深いところがあって「本当かなあ・・・」と師匠の言葉でもすぐには信じませんでしたが、家族旅行でソウルに行ったとき、免税店で正官床コウジンがガラスケースに入ってうやうやしく売られているのを見て、「本当に本当だ!」とやっと納得しました。そのままだとけっこうな値段がしますが、日本では医師の判断で既製のエキス剤に加えると保健が使えるのでリーズナブルな価格で処方できます。食欲がなく疲れている人の特効薬です。

 石鹸にコウジンを入れて何の意味があるのかよく分かりませんが、試供品を使ってみると、香りはほとんどなく肌に対する刺激もなく優しい感じがしました。私の入浴は起きがけに洗濯に使った残り湯を追いだきして入り、頭にコウジン石鹸を塗り泡立てて、それで薄いヒゲをそっています。ようするに欧米式の入浴が好きで、頭を洗い終えたらバスタオルで全身をふいて終了。乾燥肌なので垢すりなどはしないで保湿剤をつけます。以上、シャンプーもひげ剃りもコウジン石鹸ひとつで終わりです。家ではコウジン石鹸を使うのは私だけなので、年に2、3個で十分です。すっかり気に入って、はるにれ薬局屯田店に置いてもらったのですが、私以外に買う人はいないらしく、年に2、3個しか売れないそうです。私は、はるにれ薬局に対して、けっこうわがままを言っているので、このブログで宣伝することにしました。1個1320円とややお高いですが、年に2、3個ですからたかが知れています。全身だと2、3個ではすみませんが試す価値ありです。

 はるにれ薬局の後藤先生は漢方大好き薬剤師で、コウジンをはじめ、黄耆末、菊花末、釣藤鈎末、桂皮末、竜骨末、牡蠣末など私の希望はほとんど受け入れてくれます。

 保険診療に使用される漢方薬のほとんどは1000年以上も前の中国で処方されたものです。東洋医学学会での発表も既製の方剤が効いたとか効かないとか議論されています。医学の発展という観点からすると、東洋医学会は1000年前から基本的に進歩していません。

 漢方薬は複数の生薬の調合からなり立っています。吐き気や咳に効く半夏には毒があるので解毒作用のある生姜(あのショウガです)と組み合わせて小半夏湯という吐き気止めが工夫されました。めまいがある患者にはさらに茯苓を加え小半夏加茯苓湯として現在ではエキス剤になり妊婦さんの悪阻の適応になっていますが、おかげさまでラクになりました!と言う喜びの声はめったに聞けません。茯苓を除いてもとの小半夏湯にした方が切れ味は良いのではないかと思います。本来、漢方薬は必要最低限の生薬で構成されていましたが、病状が複雑になるにつれ10種類以上の生薬で構成された漢方薬が登場しました。

 疲労困憊で有名な補中益気湯はちょうど10種類の生薬で構成されています。もともとは風邪の症状が抜けきらないで、微熱が続き吐き気もあって食欲がないといった人のために工夫されました。主力は黄耆、人参、甘草で、ただ疲れているだけだったらこれだけで十分です。そこで保険の効く甘草湯エキス剤に黄耆と人参を加えるように調剤してもらったところ、けっこう良かったと言ってくれる患者さんが何人もいました。こんな処方ができるのも後藤先生のおかげです。ということでコウジン石鹸をぜひお試しください。