院長ブログ カーブ

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第498回 忙酔敬語 薄い時間と濃い時間

 9月5日(日)、岐阜で産婦人科漢方研究会が開催されます。まだコロナ禍ではありますが、オリンピック・パラオリも何とかやっていることだし、現地参加することにしました。慎重派はオンライン参加もできます。今のところ慎重派の方が多数のようです。こうなると現地参加はバカみたいですが、集まって来るのは医師が中心で、すでにワクチン済みのはずですからオリンピックよりもまだマシでしょう。私も当初、まだ暑い時期に岐阜に行くなんてバカバカしいと思っていましたが、どうにもガマンできなくなりました。

 今年の3月6日の日本東洋心身医学研究会は完全オンラインでしたが、その味気なさにはつくづく閉口しました。発表内容は論文として提出しましたが、それがなければただ録画した映像が流れているだけでした。私は録画するとき一発で時間内に納められたので、修正は面倒だしそれでOKとし、滑舌が悪いままに映像が流れました。他の皆さんははしっかり練習したようで、よどみなく発表されていました。研究会や学会の醍醐味は、演者に対しての突っ込みです。ただボンヤリ聞いているだけでは面白くありません。

 私はそれほど活動的ではなく、運動もウォーキングや1人で筋トレをしているだけで、人づきあいは院内と学会以外はほとんどありません。その学会も対面方式は去年の2月上旬の東京以後はほとんど中止となりました。1人生活は好きな方ですが、これだけ薄い時間が続くとさすがにあきあきしてました。

 人間のサガとして薄い時間よりも濃い時間を過ごすことを選択する習性があります。とくにエネルギーがありあまっている人たちほど濃い時間をもとめたがります。アスリートしかり、政治家しかりで、最も危険なのは軍人です。歴史上、人気の高い時代は、日本では源平合戦、戦国時代、明治維新、すべて戦乱の時代で、大河ドラマでも多く取り上げられてきました。戦って命のやり取りをするときほど濃い時間はありません。

 男女のなかも、淡い思い、ハグ、キス、セックスと、濃くなるにしたがって充実感が増していきます。この薄い時間よりも濃い時間を選択する習性を、精神科医のエリック・バーンは「時間の構造化」と表現しました。そして以下のように順位づけをしました。

 1.閉鎖または自閉:他人との触れ合いのない状態です。

  2.活動:日常的な生活です。

  3.儀式:結婚式や卒業式など一定の様式にしたがった触れ合いです。

 4.雑談:楽しい自由な会話のひとときです。

 5.ゲーム:楽しいゲームではなく心理的にこんがらかった不快な状態をさします。

  6.親交:好き合った同士の充実した時間です。

  お分かりのように1.2.3.4.5.6.の順で時間は濃くなっていきます。エリック・バーンは一般の人びとの生活を想定して表現したかったようで、戦争はゲームのなかに組み入れられるしかありません。エリック・バーン自身、3回も離婚して、3回目の離婚後2ヵ月で心筋梗塞で突然死、享年60歳。かなり濃い人生を送りました。

 人間はだれもが濃い人生を選択したいと願うわけではありません。その人に相応した濃さがあります。私もただ岐阜に行って、木防已湯という漢方薬についての使用経験を対面で発表するだけで、鵜飼いなど観光する気はさらさらありません。

 岐阜に行く言い分けがくどくなってしまいました。