院長ブログ カーブ

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第497回 忙酔敬語 男性更年期障害

 札幌三樹会病院院長の佐藤嘉一先生は院内に男性更年期専門外来を開設しました。しかし患者さんはたまにしか訪れずヒマを持てあましました。「男性更年期なんかやめてしまおうかな・・・」 そんなある日、NHK『ためしてガッテン(現ガッテン)』からオファーがかかり平成14年8月28日に放映され、その翌日から患者さんが殺到しました。以来、三樹会病院ではこの日を「ガッテン記念日」と言っているそうです。

 女性モルモンの減少が急激で生理が不順になってから1、2年で閉経になるのに対して、男性ホルモンの減少はゆっくりで症状もジミなので、男性更年期障害は存在自体そのものがほとんど知られていません。佐藤先生によると、元気がなくなった男性に男性ホルモンの注射を打つと改善する例もありますが、5割くらいがうつ病がらみで、そう簡単にはいかないそうです。しかし、体調不良の男性の受け入れの門戸ができたということは大いなる救いです。三樹会病院でダメなら心療内科などを紹介してくれるからです。

 漫画家のはらたいらさんは気の毒でした。平成18年、肝臓ガンのため63歳で亡くなりました。報道は漫画家というよりもクイズダービーで活躍した二枚目として騒ぎたてました。酒呑みで有名な高知県出身でやはり大酒呑み。それがたたって肝硬変になり、ついにはガンになったのでした。50歳くらいから体調をくずし、ウコンが効いたとサプリの宣伝マンになりました。本人は男にも更年期があると知って安心したと言っていましたが、誰が見たってうつ病でした。根がマジメで、クイズダービーで高得点を獲得するためか、風刺漫画のためか毎日、何種類もの新聞をすみずみまで読んで勉強していたそうです。はっきり言って風刺漫画はガラではなかった。ちっとも面白くありませんでした。それにひきかえ、エロ・ギャク漫画『モンローちゃん』や『ギッタンバッコン物語』は傑作でした。絵がシンプルで可愛らしく、きわどいテーマを爽やかに表現していました。もっと評価されてもいいのにと歯がゆく思い、先日アマゾンで古本を取りよせました。取りよせ前は再出版すべきとまで思い込んでいましたが、いざ読んでみるとまあまあといった程度。でも絵はシンプルでやっぱり良かった。

 男の更年期障害の代表格がまだいました。中川一郎・昭一親子です。お父さんの中川一郎氏は「北海のヒグマ」と言われ、自民党のドンとして一派をなしていました。しかし絶頂期にあっけなく首つり自殺しました。57歳でした。

 長男の中川昭一氏はオヤジさんよりもスケールは一回り小さめでしたが、それでも今いるどの閣僚よりも存在感がありました。アルコール依存が抜けず、国際会議で醜態をさらし大臣を辞任。56歳で心筋梗塞?で突然死。おそらく2人とも人知れずうつ病を患っていたのではないかと思います。人の言うことを聞くような2人ではありませんが、参謀がもっとしっかりしていればと残念です。

 私にもそれなりに体力的な節目はありました。50歳になる直前まで早朝ジョギングを楽しんでいましたが、大先輩の丸山淳士先生に注意されました。

 「佐野、お前の顔には死相が現れている。ユトリを残しておかないと危ないぞ」

 すなおにウィーキングにきりかえたところ、毎年参加している学会で顔見知りの先生に言われました。「先生、今年は顔色が良いですね!」 

 その後、20年近くたちましたが、おかげさまで健在です。