院長ブログ カーブ

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第473回 忙酔敬語 取るか待つか?

 去年はコロナで中止しましたが、毎年、年末にミニ同期会をしています。何十人も集まる同期会となると、会話が左右や正面の連中とだけでちょっと物足りない。そこで気の合ったメンバー十人ほどですることにしました。野球部や陸上部、剣道部、柔道部など体育会系の連中が中心です。体育会系の医学生はほぼ外科系を選択します。柔道部の私は産婦人科心身症を専門としていますが、いまだに帝王切開など外科的な診療もしてます。

 ある時、野球部から循環器外科医になった泉山が言いました。

 「俺たち、今まで散々人にメスを入れて来たけど、いざ自分が切られるとなるとイヤだよなあ」

 みんな、そのとおりだ、といった反応をしました。実際、どの診療科の手術も侵襲の少ない方法に切りかえられていて、心臓疾患もカテーテルなどで対処できるようになっているのが現状です。

 帝王切開は思いきってやるしかありませんが、子宮筋腫や子宮腺筋症に関しては手術の先延ばしも可能になってきました。また、腹腔鏡手術など侵襲の少ない術式も当たり前のようになっています。当院の特技は腟式子宮全摘術です。これはお腹に穴を開けることがないのでさらに侵襲が少なく、その上時間がかかりません。腟式子宮全摘術のメッカは我らが母校、札幌医科大学の婦人科です。しかし、残念なことに腹腔鏡手術の普及にともない大学での症例数も減少傾向にあります。当院の郷久鉞二理事長は腟式子宮全摘の全盛期を経験しています。息子の郷久晴朗院長は腟式もできるし腹腔鏡手術もできます。

 当院は外来診療に時間が割かれているので、これまで婦人科の手術は制限して他の施設に紹介することがほとんどでした。しかし、来年度からは施設の増築も完成して新しいメンバーも加わり、悪性疾患でなければほとんどの婦人科手術は当院で可能となりました。

 それでも閉経に近い子宮筋腫の患者さんに対しては、本人の希望を尊重して閉経まで待つことにしています。たとえ子宮が大きく妊娠6か月くらいのお腹になっても貧血になるほどの出血がなければ経過観察とすることもあります。

 出血が多く貧血のある患者さんに対してはどうするか? 最近、こうした患者さんに対する薬物療法の幅が出てきたので、ある程度待つことが可能となりました。

 リューブリン(リューブロリン)は1ヵ月に1回、6ヵ月間使用できます。少々値段は張りますが、出血は止まり子宮は小さくなります。2年前からレルミナという内服薬も登場しました。この薬の機序はリューブリンよりも確かで、私は四半世紀前から待ち望んでいました。大学病院などでは新薬の採用は倫理委員会などでOKが出てからなので時間がかかりますが、当院ではすぐ採用しました。薬剤は多かれ少なかれある程度の副作用をともないます。副作用が出れば中止するのが原則ですが、リューブリンの注射は1か月作用するので、ハイ止めた、というワケにはいきません。その点、レルミナは1日1回の内服なので小回りがききます。しかし、レルミナも骨粗鬆症などのため投与は6か月間です。

 こうしたときに使えるのがディナゲストです。副作用の少ない黄体ホルモンなので長期にわたって生理痛や出血をある程度コントロール出来ます。しかし、値段が高かった。止血作用もレルミナほどではなく、はっきり言ってキライでした。しかし、ジェネリックのジエノゲストの登場でお値段以上の効果が期待できるようになり、好きになりました。