院長ブログ カーブ

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第468回 忙酔敬語 宇宙の成り立ち

 冬の星空を見て考えました。宇宙はどうして出来たのだろうか?

 昔、世界的ベストセラー『ホーキング、宇宙をかたる:ビッグバンからブラックホールまで』を買いましたが、チンプンカンプンで買わなきゃよかった、お金損したと後悔しました。ブラックホールについては学生のときからイメージはついていました。しかし、ビッグバンは何もないところからいきなり物質や時間が生じたみたい。そんな魔法みたいなこと、いくら理論物理を駆使されても生理的に拒否反応しました。オレはだまされないぞ!

 そもそも物理が苦手で、数学がらみになるとてんでダメでした。ニュートン力学の二次関数までは何とか理解できましたが、三次関数で挫折しました。虚数も自乗したらマイナスだなんて想像の範疇外でした。虚数と実数を混ぜた複素数には憎しみを覚えました。

 それでも子供の頃はいくらかセンスがありました。小学5年生のとき、階段の傾きについて階段を無限に小さくすれば傾いた線になるのでは?と微分の先駆けを行っていました。また父にマイナス×マイナスは?と聞かれ、即座にプラス!と答え、それまで私のことを発達障害では?と疑っていた父を感心させたものです。

 さて虚数について。一昨年前、新聞の書籍広告欄に武内薫『虚数はなぜ人を惑わせるのか?』(朝日新書)を見て、すぐ買い求めました。はたして、ほとんどはチンプンカンプンでしたが、マイナスがプラスとは180°反対方向なのに対して虚数は90°方向転換したものだというのをあらためて知って、虚数の存在を実感することだ出来ました。そうか、虚数は実数よりもはるかに大きな空間を示しているんだ! 虚数という概念がないとコンピューターやその他の先端技術も成り立たないと武内先生は述べていましたが、その成り立ち具合についてはやはりチンプンカンプンでした。

 ブラタモリ「飛騨~アゲアゲの飛騨!そのヒミツは~」でスーパーカミオカンデが紹介されました。宇宙からは多くの素粒子が降ってきます。その中のニュートリノに限定した測定器は、ニュートリノ以外の素粒子が通過できないように、堅い飛騨片麻岩を地下1000mまで掘り進めた場所に設置する必要がありました。100億円かけてスーパーカミオカンデが建設されました。その原型カミオカンデの開発の陣頭指揮をとった小柴昌俊先生はノーベル賞を受賞しました。この番組が放映されたのは小柴先生のご訃報の2日後で、偶然とは言えタイムリーでした。小柴先生って学者と事業家を兼ねた怪物だったんですね。

 「ニュートリノを測定することで何が分かるんですか?」    

 タモリさんが所長の東大教授に訊きました。

 「反物質の存在が証明されます」

 「反物質って何ですか?」

 「宇宙に現存する物質と反対の関係にあるもので、それらを足すとゼロになります」

 「へーッ! 宇宙ってゼロなんですか?」

 「はい、ゼロです」

 所長さんはキッパリと言いました。

 ここで私はやっとビッグバンを理解することが出来ました。何もないところからビッグバンで素粒子や時間が生じただなんて感覚的にピンと来ませんでしたが、反物質という負の物質が同時に生まれたということでやっと腑に落ちたのでした。