院長ブログ カーブ

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第459回 忙酔敬語 「先生、長生きしてね」

 最近、患者さんからよく言われます。私の健康を思いやってくださるのはもちろんでしょうが、今後も末長く診てくださいね、という意味合いの方をより強く感じます。

 自分では元気なつもりなので、「オレ、そんなに老けたのかなあ」と、かえって心配になります。すでに後期高齢者の郷久理事長は、「わたしより早く死なないでくださいね!」とまで言われるそうですが、今が男盛りの晴朗院長は全然大丈夫です。

 昨年、ある講演会に参加したとき、後方に坐っていた高橋円先生に「先生、やせ過ぎよ!フレイルの方が危ないって知ってる?」と言われました。たぶん10年以上も前に購入したジャケットがユルユルになっていたためでしょう。6年前から体重は68㎏をキープしています。しかしながら学生時代167㎝だった身長は、だんだん縮んできて今や164㎝を切ろうとしています。ですからスタッフの背丈がやけに伸びたように見えます。同期会ではみな平等に年を食っているので全員それほど変わりばえはしません。小児科の青山君は笑いながら言いました。「オレ達の年代なら当たり前だよ」

 背中が丸くなったのは確かで、家族やスタッフからも注意されます。3年前に一番安直な小林篤史著『ねこ背は10秒で治せる!』という本を買いました。確かに書いているとおりにすれば10秒間は背筋は伸びます。この10秒で永久に治るわけではなく、ヒマさえあれば鏡を見て姿勢を正す必要があります。要するに気を抜かないことが大切です。でも優しい小林先生は、パソコンを見ているときはラクな姿勢で仕事に集中してよいと言っています。歩くときは、院内でも外でも胸を張って肩を後に引くように心がけています。

 バレーを習っている助産師のSさんの姿勢がスッとしているので、素直に感銘の意を表したところ、以前は猫背だったがバレーのおかげで背筋を伸ばす習慣が身についたとのこと。オレも頑張ろうっと。

 外見はともかく精神的には老けてはいないつもりです。物忘れの頻度が増したのは事実ですが、ちょっとしたことから新しい発見をしています。学会に出席するときは基本的に自分も発表します。人の話を聞いているだけでは面白くありません。緊張感をもって参加します。毎年5,6回発表していましたが、今年は2月上旬の学会だけで、その後はコロナのためすべての学会が中止となりました。ユルイ生活でしたが、道を歩いるだけでも新しい発見があり、診療の幅が広がっています。

 日本の心療内科の創始者である池見酉次郎先生は、心身医学会学術講演会でつぎのように述べられました。

 「カウンセリングのゴールは生かされている自分に気づき、それに感謝することである」 当時の会場の雰囲気を覚えていますが、ほとんどの参加者は「こんな難しいこと、とうていムリ」的な感じで思いっきり引いていました。私は多いに感動しましたが、やはり自分もその域には達していないと思いました。しかしながら最近になってやっとその意味を実感できるようになりました。別に哲学書などで勉強したわけではなく、テクテク歩いているうちに、生物は、動物も植物も細菌もウィルスもセットになって生きている、ということに気づいたからです。そして人もセットの中で生かされている!

 こうなると、心療内科で受診する患者さんへの対応もおのずから変化しました。これからも良い方向へ変化するつもりです。もちろんさらに長生きします。