佐野理事長ブログ カーブ

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第449回 忙酔敬語 根こそぎ取る

 新川の札幌市民農園でトウモロコシや枝豆、トマト、キュウリ、ナスなどを栽培しています。例年は当院の駐車場の一角でやっていましたが、新築工事のため今年は新川まで出向いています。これが広々として良いんですね。5月から7月にかけてはヒバリのさえずりやカッコウの鳴き声が心をなごませてくれました。

 しかし、地面を見ると雑草が生え放題でゲンナリします。野菜は無理やり植えたのに対して草は現住種なので元気いっぱいです。とくに肥料をタップリ投入した部分は栄養を横取りして人様の畑に比べてあきらかに成長が早く、ウカウカしているとヒンシュクを買いそうなので根こそぎ取ることにしました。

 父は草花や野菜の栽培が生涯の趣味でした。したがって小学生のときから庭の草取りをさせられました。根からしっかり取らないと軍隊仕込みのしつけでガツンとやられました。草取りはイヤ、ガツンもイヤで、絶対に庭付きの一軒家には住まないぞと誓いましたが、何の因果か気づいてみればまた家庭菜園をしていました。

 芝などのイネ科の草やタンポポは根をしっかりと張るため根こそぎ取るのは大変です。

中腰で取っていると腰を痛めるので、ひざまづいて地面に這いつくばって取ることにしたところ、1時間くらいぶっ通しでこなすことができました。当院の敷地でやっていたときは取った草はその辺に捨てて終わりでしたが、今回のその辺はお隣の畑なのでいったん運搬用一輪車に収納して草置き場に運ばなければいけません。でもこのときどき運ぶという行為は腰を痛める防止となり、かつ気分転換になるので苦になりません。

 ガキの頃はただイヤイヤながらやっていましたが、老境に入った今ではいろいろ哲学しながら抜いています。先ほども書きましたが、一つ、現住種は強いなあ。二つ、肥料は効くなあ。肥料をほとんど入っていない畑の端っぽでは雑草はまばらです。三つ、これって子宮がんの手術に似ているなあ、いい加減に取ると再発する。とすると除草剤は抗がん剤みたいな物だ。近隣の畑には雑草はほとんどないが、まさか除草剤は撒いていないだろうな? だんだんロクでもない考えも浮かんできます。

 雑草はすぐに運搬車にいっぱいになります。それに引き換え収穫物はわずか。農家の仕事の8割は草取りだと聞いたことがあったけどそれは昔のことだよなあ。たしかアイガモを利用した除草方もあるけどあれは田んぼの草を食べるんでここで飼ってもしようがないなあ。こんなに草を抜いて捨てるということは栄養物、すなわちせっかく撒いた肥料を捨てることと同じでもったいないことなのではないだろうか? 捨ててある草が乾いたら畑に戻すというのはどうだろうか? でも何しろ回りはご近所様の畑だからそんなことをしたらまたヒンシュクを買うだろうなあ。ここは広々として良いけれど人様の目を気にして作業するのも考えものだなあ。哲学の程度はだんだん落ちてきます。

 畑の広さは1区画100平方メートル。料金は20000円です。新川は高い方ですが、これは相場で、10000円の所は50平方メートルです。6月の始め、水やりをしていたら中年の夫婦が車で通りかかって、価格などを聞いてきたので、今さら始めても遅いぞとは思いましたが知っていることを伝えました。間もなく隣りの空いた区画の雑草が取り除かれ見事な畑が登場しました。人を侮ってはイケナイとあらためて思いました。

 今年は野菜が高騰していますが、我が家の畑では、もとは取れそうもありません。