院長ブログ カーブ

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第445回 忙酔敬語 10年ぶりのホーホケキョ

 山本先生が当直のときは4時30分に起きることにしています。通常は4時前後に自然に目を覚まして活動開始しているので別に苦にはなりません。山本先生は6時30分に当院を出て登別の老人病院に出勤されます。御年81歳、化け物です。記憶力はいまだに抜群で吸引分娩の達人。これまで何度帝王切開が回避されたか分かりません。

 私はお産が終えたお母さんに「ヨーダがいて良かったね」と言いましたが、キョトンとされました。もうスターウォーズの時代は終わったようです。ヨーダは銀河系宇宙の超能力集団・ジュダイのマスターです。小柄のエイリアンですが、ダークサイドの敵相手に大立ち回りをしました。「お産の神様ってことだよ」と言いなおしました。私は産婦人科医になって間もなく、このヨーダに帝王切開の手ほどきを受けました。5例目の帝王切開でした。おぼつかない私に独特の方法を伝授され、その印象はいまだに覚えています。 

 さて、6月18日、山本先生の当直明けの朝、3時半に目を覚ましたので、4時になったら床を離れようと目覚ましを止めてウトウトしていたら何と5時を過ぎていました。あわてて残り湯をわかして洗濯物をベランダに干し、途中、熱くなったお湯に浸かりながらヒゲを剃り、タオルで体をふいて保湿剤を塗って浴槽を洗ってから、ふたたびベランダに行って洗濯物を洗濯バサミで固定し、衣服を着て帽子をかぶって出かけました。

 屯田防風林を横切ったとき、ホケキョ・・・と鳥の声。あれ、ウグイスかな?と思って立ち止まり耳をすませました。今度は始めからはっきりとホーホケキョ!  間違いありません。時間はピッタリ6時00分でした。

 10年ぶりでしょうか。20年前から10年間ばかり明るい時間帯に鳴いていましたが、最近はとんと聞かず、防風林の近くに住んでいる患者さんに「ウグイスのホーホケキョ聞かないですか?」と訊ねても頸を傾げるばかりでした。

 私が札幌でウグイスの声を確認したのは、この防風林付近だけです。円山の近くに住んでいるスタッフはふつうに聞こえるようです。やっぱり円山は奥が深いなあ。

 今年の夏至は6月21日だったので、18日の朝6時はウグイスにとって鳴くのには充分な明るさだったみたい。その日の日の出は4時前でした。寝坊してラッキーでした。

 当院ではもう一人お産大好き先生が当直してくれています。御年72歳の野田先生です。野田先生はじつに几帳面な方で丁寧な会陰縫合をされます。私が入局した年、出張先の北見赤十字病院から大学にもどられました。私も野田先生もそんなにおしゃべりではありませんが、初対面で30分以上も話し込んでしまいました。ウマが合うってこういうことなんでしょうね。

 野田先生は厚田区在住で近くに野幌森林公園があります。ウグイスのことを興奮気味に話すと、「そんなの森林公園から日中いくらでも聞こえるよ」と、こともなげに言いました。ウグイスの絶滅を危惧していましたが、けっこうシブトイようです。

 ネットでウグイスのことを検索すると鳴き声がうるさくて眠れないという声もありましたが、私は鳥の鳴き声のなかでウグイスが一番好きです。小学生時代のほとんどは東京の郊外に住んでいました。その辺の樹木はヤブで小さく、それこそウグイス色の姿を観察することができました。札幌ではいきなり林や森林レベルになるので姿はなかなか見えません。でも鳴き声だけで充分満足です。