院長ブログ カーブ

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第442回 忙酔敬語 オンライン授業

 新型コロナのため、毎年講義に行っている大学でオンライン授業をすることになりました。一番ラクチンなのは私が当院の医局にいて学生諸君と話をする方法ですが、なんせ縄文時代なみのテクノロジーしか持ち合わせていないのでノコノコ大学におもむきました。案内されたのはいつもの講義室。「学生は?」と訊くと自宅で待機しているとのこと。ラクチンなのは学生でした。

 担当の教官がノートパソコンを立ち上げてくれました。開始時間が近くなるとだんだん参加する学生が増えてきて全員参加したのを確認した時点で授業は開始となりました。20名ほどの学生の顔が画面に映ります。学生の部屋の様子も見えるので、それがイヤな子は背景を遮蔽していました。

 1回の講義に使う資料は例年どおりA4で1枚のメモ用紙。パワーポイントは使いません。ひたすら話術で勝負ですが、なんせ滑舌が悪いので学生諸君につたわったかどうかは今一つ自信がありませんでした。

 講義を進めていくうちに学生がだんだん眠そうになるのが分かります。画面には学生の名前も標示されているので、ときどき質問を交えました。分からなかったらそれ以上は苛めないですぐに回答を示します。

 こう書いていると順調そうですが、横に坐っている教官がミュートにしたりオンにしたりしているので何とかなったのでした。ただときおり回線の問題が生じて話が伝わらないこともあり、そのときは手をあげてもらって説明を加えました。いつも通り話に脱線を加えたりしてほほ予定どおりに講義は終了。パソコンに向かって坐っていただけなので、こっちもいつもよりラクチンでした。

 翌週は別の大学で周産期メンタルケアについての講義に出かけました。この大学のパソコンにはカメラがついてないので学生から私の姿はうつりません。また、10人ほどの学生の姿も画面に現れなく、音声だけの講義となりました。滑舌の悪い当方としてはハンディでした。できるだけハッキリと発音することにあいつとめました。

 担当の教官いわく、「学生は朝から晩までパソコンの画面とにらめっこなので肩こりなどの弊害を出てきています。その辺のところを配慮してください」

 つねづね、パソコンとスマホの弊害について述べているので二つ返事でOKしました。要するに講義開始と同時に「みなさん、無理しないでときどき頸を回したり肩を上下させてくださいね。こちらからはみなさんの姿は見えないので遠慮しないでください」と言えばよいのです。ところがいつになく講義に熱が入ってこのセリフは忘れてしまいました。反対にこちらの姿が見えないのをいいことに、横座りに坐ってリラックスした姿勢で話しました。したがってとてもラクチンでした。

 ちょうどそのころ郷久先生の提言で本を書こうということになり、さっそく『女性の心身症における東洋医学』という本の執筆を開始していました。講義の内容とかなりかぶっているので滑舌が悪いわりには快調に話せました。学生の反応もよろしいようでときどきチャットで質問が来たり、さいごは画面中に「今後の助産師としてとても勉強になりました」、「妊婦さんの不安を受容するコツがわかりました」、「ありがとうございました」、「ありがとうございました」・・・。オンライン授業が好きになりました。