院長ブログ カーブ

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第435回 忙酔敬語 かかとが痛い

 50歳の患者さんが受診しました。

 「どうされましたか?」

 「かかとが痛いんです」

 「かかと? そこは整形外科が専門だと思いますがどうして当院へ?」

 「更年期だと思ったからです」

 こんなとき、私は「更年期になるとたいてい目が遠くなりますが、ふつう眼科へ行くでしょう?」とチョット意地悪を言います。言い方が肝心でヘタをすれば相手を怒らせます。 患者さんの視力は予想以上に若々しく、円皮鍼というシールの中心にある長さ0.6mm直径0.15mmのトゲのような鍼も見えました。私は老眼鏡をかけてもほとんど見えないのになあ、大したものです。

 医師としてのサガというか、どこか痛いと言う人を診れば、「さあ、どこですか?」と手が伸びます。靴下を脱いで椅子の上に出してもらい痛い場所を確信しました。左のかかとに圧痛がありました。ほんの1ヵ所で他に問題はなさそう。この状態で整形外科を受診しても、レントゲン写真を撮って異常ありません、と言われるだけでしょう。

 そこで先ほど患者さんに見せた円皮鍼で陰陽太極鍼法で治療することにしました。たいそうな言い方ですが、痛い部位と反対側にツボをとって円皮鍼を貼るだけです。ツボとは不思議なもので病的な状態がなければ押しても何も反応しません。しかし、体に異常が生じると痛みや圧痛などが現れます。はたして右手首に痛い場所を発見しました。そこに円皮鍼を貼ってゆっくりと10回ばかり指圧しました。ちょうど気持ちが良いという加減で押すのがコツです。

 「さあ、立ってごらんなさい。痛みはどうですか?」

 「あっ、痛くない!」

 「やっぱり、ウチに来て正解でしたね。また、痛くなったらいらしてください」

 患者さんはポッチャリタイプで、痛みの原因は足に負荷がかかっていたためと考えられますが、それを言っては可愛そうなので、あえて何も言いませんでした。ただし、どうしてか?と訊かれれば正直に説明するつもりでした。

 この陰陽太極鍼法は、最近、若い女性のスマホによると思われる下腹部痛にも威力を発揮しています。スマホに長時間のめり込んでいると肩や首筋が張ってきます。その症状が反対側の下腹部痛となって現れることが多々あります。

 下腹部が痛いと言って、心配そうにしているお母さんに連れられて受診した高校生。お腹全体が痛ければ要注意ですが、3㎝四方にとどまっていればしめたものです。反対側の背中の上部をさぐります。はたして「そこ、気持ち良い」という場所が見つかりました。そこに「はい、このシールを貼るからね」と言って円皮鍼を貼附して例のごとくやさしくマッサージ。これでほとんど痛みは解決します。あとは生活指導をします。

 スマホは必需品ではないのでこれでOKですが、事務職で長時間ディスプレーとにらめっこしている患者さんには止めろとは言えません。以下のアドバイスをします。

 「30分に1回は、立ち上がって肩を上下させて頸を回してください。さらに窓があればはるか遠くの山や空を見つめて目の疲れを癒やすようにしてください」