院長ブログ カーブ

Close

第428回 忙酔敬語 マスクとコンドーム

 昨年からニッチについて考えています。ニッチとはもともと隙間のことですが、生物用語として「生態的地位」という意味でも使われています。かえって何のことやら分からなくなりますが、日本語の学術用語の習いで、人を煙に巻かせる表現を使いたくなるのが学会の悪いクセです。簡単に言うとその生物にとって住みやすい場所と理解してさしつかえないでしょう。どうしてニッチについて考えるようになったのか? 心身症の患者さんを診ていると、職場や学校で生きづらい思いをしているケースが多々あります。心療内科的な治療法として、認知行動療法や自律訓練法などがありますが、それらは患者さんに対するアプローチで、回りの環境が正しいことが前提となっています。職場のパワハラや勉学の内容が本人に合っていないようだったら、こんなことをしても無駄です。新しい居場所、すなわち本人に適合したニッチを探すことが大事です。

 ニッチには「棲み分け」や「競争排除」という考え方も含まれます。ようするに同じニッチにはそれほど多くの種は住めないのです。今回の新型コロナウィルス感染症で当初から気になったのが幼少児での症例が少ないことでした。

 子供は風の子と言いますが、しょっちゅう鼻を垂らしているので「風邪の子」とも言えます。そのため新米の保健師さんや若手の小児科医は風邪を移され、よく熱を出したり下痢をしたりして大変です。しかし、ベテランになるとたいていの感染症に対して免疫がつき、水痘ウィルスが原因の帯状疱疹にもなりにくくなるというデーターもあります。

 もともと風邪の原因の10~15%は4種類のコロナウイルスです。6歳までにほとんどの子供が感染します。従来のコロナウィルスと新型コロナウィルスは同じニッチに棲むと考えられます。「競争排除」の法則で新型コロナウィルスは侵入できないのです。それではインフルエンザはどうか? 多分、コロナウィルスと「棲み分け」があるため幼児にでも侵入するのです。ただしインフルエンザ同士では「競争排除」でAとBが同時に発症することはありません。

 今回の休校などの政府自治体の指導やマスコミのあつかいについては騒ぎすぎではないか、と小児科の笹島先生と笑いながら話しました。症状が軽いので知らないうちに感染が広がる、治療法がない、20年前のインフルエンザと同じです。インフルエンザも当時はタミフルも検査キットもありませんでした。ところが対処法ができたと思われた2018年でもインフルエンザのために3000人以上の死亡者が出ました。風邪のほとんどは原因不明のウィルスに因るものです。インフルエンザと新型コロナは原因が特定できた、ただそれだけです。さらに言えば新型コロナのPCR検査は実のところあてになりません。そして相次ぐマスクの売り切れ騒ぎ。マスクの予防効果がいかに当てにならないかはクルーズ船へ乗り込んで行った検疫官が発症したことで実証済みです。

 産婦人科医として歯がゆく思っていること。日本では毎年、子宮頚癌で3000名近くの女性が亡くなっています。1ヵ月で200人以上です。新型コロナの比ではありません。大事なのは頚癌ワクチンや定期検診で防げることです。現にオーストラリアでは今後10年で天然痘のように撲滅できると言っています。ワクチンは副反応がコワイからイヤだ、検診も面倒だからイヤだと言う女性。それではパートナーにしっかりコンドームをしてもらってください。新型コロナウィルスに対するマスクよりはるかに効果があるはずです。