院長ブログ カーブ

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第421回 忙酔敬語 AIなど恐れるに足らず

 よちよち歩きの1歳児が、よろけても態勢を立て直して歩いている動画を見て若いロボット工学の専門家は言いました。

 「今の技術ではとてもこんなことは出来ません」 

 AIが囲碁や将棋の名人を打ち負かしたことが話題になりましたが、それはあくまでAIが指定した位置に人が碁石や駒を置いた結果です。もし、AIに「さあ、君の番です。はい、どうぞ」とうながしてもAIは何も出来ません。たとえて言うならブラック・ホールで有名なホーキング博士とガチでチェスをしているようなものです。天才ホーキング博士は脊索硬化症のためピクリとしか動けませんでした。 

 脳は考えるためというよりも運動を調整する部分が圧倒的に大きな体積を占めています。人類の脳が大きいのは「考える」ためではなく、運動が多彩なためです。歩いたり走ったりする以外に手を使って道具を作り狩猟や採集をし、さらには踊ったりもする。

 ジャレド・ダイアモンド博士はロングセラー『銃・病原菌・鉄』のプロローグで、友人のパプアニューギニア人と較べればアメリカの若者の知能指数はずっと低いはずだと述べています。坐ってコンピューターを操るよりも自然のなかを探索して食料を探す方がはるかに脳をフル活動させるからです。

 豚はイノシシを家畜化したもので遺伝子の配列は同じでもちろん種として同じです。野生のイノシシの脳はエサを自力で探すために表面がシワシワになっているそうですが、豚は苦労をしていないのでツルツル。スマホにはまっている若者の脳もツルツルになっているかもしれません。そう言えば顔つきもすでにツルツルです。

 自然界でも、コアラは、オーストラリアではどこにでも手に入るユーカリの葉っぱだけを食べているため、脳は萎縮して頭蓋骨のなかに隙間が出来ているそうです。人間の若者の脳もツルツルの上に隙間が出来るかもしれません。いくら考えごとをしても運動しなければ脳は退化します。

 このたびのオーストラリアでは史上まれにみる大規模森林火災が発生して、いまだに治まっていません。火災の範囲を見るともともと地図では緑だった部分がほとんど含まれています。本州の半分とか北海道の面積と同じとか報じられていますが、森林はほぼ壊滅に近くなっています。テレビではクッタリしたコアラやウォンバットが放映されましたが、今後、コアラが自然界で生き延びるとすれば萎縮した脳を復活させ、ユーカリ以外の食物を摂る能力を得る以外にありません。しかし、進化は発達しようとして出来るのもではないので時間がかかります。ほぼ絶望的でしょう。オーストラリアの国民は政府の無能を非難していますが、昨年は史上最高の気温と乾燥を記録していて、オーストラリア一国のせいではなく、全先進諸国の二酸化炭素排出のツケが回った結果だと思います。

 けして対岸の火事ではありません。北海道も今年は記録的な雪不足で徒歩で通勤する身にとっては好都合ですが、今後の農業の影響を考えるとツケは日本にも遠からず廻ってくるはずです。

 コアラの脳について考察しているうちにAIの問題よりももっと恐ろしい危機が迫っていることに気づきました。わがブログでもスズメの減少やチョウの減少について5,6年前から警鐘を鳴らしていましたが、冗談でなく「ヤバイぜ」状態となっています。