院長ブログ カーブ

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第418回 忙酔敬語 続・外国人の患者さん

 ベトナム語にトライしようとした私ですが、『ベトナム語入門』を2,3ページめくってみてギブアップしました。中国語の影響をモロに受けていて母音のトーンが上下して発音が複雑なうえ表記もアルファベットにコテコテと飾りがあり目が回ってしまいました。

 中国の人たちは「中国」というだけあって、いまだに意識しているかどうかは別にして、自分が文化の中心であるという自負があるようです。ですから堂々としています。

 昔、北京大学から札幌医大産婦人科に超音波の勉強のために留学された女性医師の王助教授は、「日本の患者さんは北京の患者さんよりもおとなしい」と感心していました。

 それに対して私は「日本も地域によっていろいろで、多分、大阪あたりだったら北京の患者さんと大差ないでしょう」と説明しました。

 中国の人々は国家よりも個人的な繋がりを重要視しています。押しが強いので日本では中国人の観光客に辟易している傾向がありますが、いったん絆ができると非常に頼りになります。10年前に香港に学会で行ったとき、ある老教授に地下鉄のカードの購入から食事のお世話などそれは親切にしていただきました。日本人だってバブルのはじける前は、世界中の観光先で爆買いをしてヒンシュクをかっていました。

 ホッソリとそそとした中国人の女性が、お腹が痛く冷えて疲れやすい、ということで受診しました。当帰湯を処方したところ、本人がビックリするほど効きました。中医のテキストには当帰湯の効能として「補気養血・温中散寒」と書かれています。日本人の患者さんならチンプンカンプンですが、さすが中国人、一目で理解しました。本国では略字体が主流ですが、すべての漢字が略字体となってるワケでもなく、このくらいなら分かるようです。でも本当に分かったのかなあ。後日、女性は大勢の中国人の仲間を引き連れて来てくれましたが、なかには赤ら顔でポッチャリ、絶対に「補気養血・温中散寒」とは言えない人もいましたが、是非にと言うのでしかたなく処方しました。

 イギリス人も大英帝国のなれのはてで頑固です。EU離脱問題で世界中を騒がせましたが、終始ユーロは採用せずポンドにこだわり、そもそも国そのものがイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドに分裂して、サッカーやラグビーもそれぞれ独立国みたいに世界大会に参加している国です。人の言うことなど聞くはずがありません。

 当院では予定帝王切開の場合、前もって希望すれば夫立ち会いを行っています。そのハシリがイギリス人の夫でした。

 「イギリスでは立ち会いが当たり前ですよ」と達者な日本語で口をとがらせました。

 さいわいにも当時、親友の札幌医大産婦人科准教授、遠藤俊明先生が、姉妹校のヘルシンキ大学の視察の報告会で、夫立ち会いの帝王切開に関して触れていたので、欧米人だったら立ち会いを希望するのは分かっていました。遠藤先生はヘルシンキ大学で帝王切開を見学したとき、麻酔医の立ち位置にいる男性がやたらに患者さんにキスをしているのでビックリしました。「フリーセックスの国とは聞いていたがここまでとはなあ!」。あとでその麻酔医と思われた男性は患者さんのご主人だと分かりホッとしたそうです。

 以上、ベトナム人、中国人、イギリス人の患者さんについて紹介しましたが、さらにロシア人、韓国人、フィリピン人、タイ人、モンゴル人など受診されまさにグローバルです。その国の習慣をしっかり把握して安心した医療を受けてもらうように心がけています。