院長ブログ カーブ

Close

第412回 忙酔敬語 母胎救命講習会

 10月27日の日曜日、「母体救命公認講習会」に助産師Mさんと一緒に参加しました。場所は札幌医大の教育研究棟。

 生まれた赤ちゃんが泣かないときの蘇生の訓練は当院でも定期的におこなっています。各スタッフもマニュアルにそって冷静に対応しているので、安心して産後のお母さんの処置や帝王切開を続けていられるのですが、お母さんの呼吸や心臓が止まって命にかかわるような事態にはさいわいにも遭遇したことはありません。要するにめったに起こることはないのですが、あったら一大事です。

 当院ではすでに3人のスタッフが参加してその成果を院内の勉強会で報告していますが、院長みずからも勉強すべきだと背中を押されて参加させられました。1日に2回、午前の部と午後の部に別れての講習。われわれは午後の部に参加しました。午後2時から6時までの4時間。せっかくの日曜日なのに今さら4時間もやらされるのか、とやる気のない私は地下鉄の中でプログラムを確認しました。そこで指定されたテキストを用意していないことに気づきました。ちょっと焦りました。助産師Mさんのとなりに坐って見せてもらうしかないな・・・。

 地下鉄を降りて札幌医大への地下通路を歩いていたら、向こうから歩いてきた2人づれの女性の1人に「あら、佐野先生!わたしのこと覚えていますか?」と話しかけられました。20年も前に新卒で当院に勤務してくれた助産師Tさんでした。ちょうど午前の部に参加してからの帰りでした。

「やあ、ツッチーだね、おもしろかったかい?」

「おもしろかったですよ」

「俺、テキスト忘れて来ちゃった。怒られないかな?」

「大丈夫ですよ。心配ならわたしのテキスト貸してあげましょうか?」

 おもしろくてしかも怒られなければ問題なし。

「いいよ、ありがとね、バイバイ」と言って別れました。少し気分が晴れました。

 講習会は妊産婦さんの人形を用いた実技講習が中心でした。心臓マッサージは3回胸部を圧迫して1回肺に空気を送り込むと覚えていましたが、それは新生児に対してで、今は30回胸骨が5㎝沈むくらい強く圧迫して2回マスクで胸が膨らむように空気を入れるとのこと。時代は変わっていました。

 参加した18名は3グループに分けられ、さらに3名ずつのチームになって急変した妊産婦のお人形さんに対処しました。3名の内訳は医師、助産師、看護師で、参加者は必ずそれぞれの役割を演ずることとなりました。

 基本、妊産婦さんに寄り添うのは助産師で、医師は薬物の指示や最終的な判断、そして看護師は薬物の投与や連絡係ですが全体を見回す司令塔的な立場でもあります。

 私はノリやすいタチで役にのめり込みました。助産師を演じた症例が血圧が上がってみずおちが痛いと言い出しました。インストラクターの先生言うには「医師は寝起きが悪く呼んでもすぐ来ません」。そこで看護師役に向かって叫びました。「先生にHELLP(短時間に肝障害や血小板が減少したりする病態)だからHELP(助けて)って言って!!」

 そんなこんなで4時間の実習はまたたく間に過ぎたのでした。