相も変わらず煎り大豆のお話しです。これまで毎朝100g食べていましたが、最近はきりが良いところで1袋、すなわち120g食べています。
炭水化物ダイエットの一貫として続けています。おかげさまで体調は良好。それでも「極端な炭水化物ダイエットで死んだ人がいるって知っている?」とおどす人がいますが、そもそも大豆はたんぱく質や脂肪ばかりではなく炭水化物もある程度含んでおり、『古事記』には大切な五穀(稲、麦、粟、大豆、小豆)として記載されています。もっとも五穀は時代によって異なり、『日本書紀』では稲、麦、粟、稗、豆(大豆+小豆か?)となっています。どっちにせよ1000年以上の歴史があり、極端な食物でないことは確かです。
私は幼少の頃から煎り大豆やその前段階である枝豆が大好きでした。両方に共通するのは米と違っておかずがなくてもうっすらと塩気を感じることでした。ふつう、茹でた枝豆には少量の塩をふりますが、なくても平気だと思いませんか?
そこで食品の成分表を調べてみました。塩味として感じられるのはナトリウムとカリウムです。
100g当たり エネルギー ナトリウム カリウム
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白米のご飯 168 kcal 1 mg 88 mg
煎り大豆 422 kcal 5 mg 1900 mg
枝 豆 135 kcal 1 mg 590 mg
煎り大豆の成分表を見たとき、塩味はナトリウムのためかと自分の感性にアッパレを与えましたが、どうも圧倒的なカリウムにもあったようです。
食品から摂るカリウムは問題になることはほとんどありませんが、注射でカリウムを一気に体内に入れると心臓が止まります。たまに医療者による殺人事件として報道されるのでご存じの方もいらっしゃるでしょう。
昔、漫画で恨みのため塩断ちをして死んだお婆さんの話を読んだことがあります。ひたすら雑穀と塩気のない山菜を死ぬまで食べ続けました。けっこう苦しいはずだったと死を確認した医師はお婆さんの強情ぶりに感嘆していました。
カリウムは野菜や果物といった植物性の食品に含まれています。このままだと死んだ婆さんのようにナトリウム不足になります。サラダにドレッシングをかけたくなるのは自然の道理で、シカなどの野生動物でも廃墟に残された塩分(ナトリウム)をもとめてその当たりの土を舐めに集まることが知られています。人間の場合も食塩にまつわる話は古今東西、歴史の教科書にも再三にわたって登場します。サラリーやオーストリアのザルツブルクの語源が塩(ソルト)から来ているのは、よくテレビでも紹介されています。
一度、塩の味を覚えてしまうとハマッてしまうのが人間の弱さです。健康のために減塩減塩と騒がれる始末となりました。妊婦さんはとくに妊娠高血圧の予防のために要注意と言われてきましたが、極端な減塩は腎臓の血流量を減少させるので制限にストップをかけているのが現状です。幼子のように自分の舌に自信を持てるようになるのが一番です。