院長ブログ カーブ

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第391回 忙酔敬語 脳は何のためにあるのか?

 「考えるためです」

 ほとんどの人が答えます。

 ブーッ! 正解は運動を制御するためです。

 イヌやネコならともかく、アリやミミズが考えごとをしていると思いますか? イヌやネコだってそんなに深く考え込んでいるようには見えません。

 ジョン・J・レイティ博士は『GO WILD』で口を酸っぱくして(本のことなので本当に酸っぱかったのかは分かりませんが)述べていました。そして自著『脳を鍛えるには運動しかない!』をさかんに引用し、まるで自著の宣伝みたいでした。

 現在、AIは囲碁やチェスで人間に勝てるようにまでになりましたが、実際に将棋や碁石をうつという行為は現在の工学技術では6歳の子供の域までに達していません。

 脊索動物のホヤは、幼生時はエサをもとめて海のなかを泳いでいますが、岩にたどり着いて動く必要がなくなるといらなくなった脳は吸収されてしまいます。コアラも大昔はそれなりの脳があったらしいのですが、エサはユーカリの葉っぱのみとなった現在では新しいエサをもとめて活動する必要がなくなったため脳は萎縮して頭蓋骨に隙間があるとのこと。そう言えば野生のイノシシは食物を探し求めて活発に行動するため、大脳の表面に多数のシワがありますが、家畜化されたブタの脳の表面はツルツルだと聞いたことがあります。スマホばかりいじくっていると我々の脳もツルツルになるかもしれません。

 介護施設ではお年寄りにいかに適切な運動をしてもらうかが大きな課題となっています。転んで寝たきりになったら認知症が進んで生存率も下がるということは以前からの常識です。立って平衡状態を保つ方が、囲碁で考え込んでいるよりも脳は活発に活動します。

 ではいかに運動するか? レイティ博士はとにかく走れと言っています。バーチャルの空間内の平坦なジョギングよりも悪路を走る方が脳はより活性化されます。私も帰宅時に北区体育館の中でウォーキングマシンで頑張っている人たちを見て、常々滑稽に思っています。ちょっと足をのばせば歩きには最適な場所がいくらでもあります。わざわざお金を払ってつまらない運動をしなくてもよいのに。現に目の前に私が気分良く歩いている遊歩道があり、さらにちょっと足をのばせば屯田防風林の散策ができます。

 人間が、歩く走るといった基本動作以外に、手を使って作業をしたり、ピアノやその他の楽器をかなでたり、踊りやダンスなど、運動のバリエーションが広いのは他の動物よりも大きな脳があるからです。深く考えるだけではなかった。そう言えばルービンシュタインなど偉大なピアニストはシブトイ記憶力があり、昔、誰それ伯爵からいくら講演料をもらったなどと明細な記録を残しています。アスリートも年をとっても、スポーツ評論家の張本さんのようにいつまでたってもメリハリのある解説ができます。 

 私は野球には興味はありませんが、BS1で放映されている『球辞苑』が大好きです。ほとんどレギュラー出演している元捕手の里崎智也さんが、一見ボーッとしているようで鋭い発言をするので、野球ってこんなに頭を使うのかと感心しました。また、元巨人の桑田真澄さんが投手の守備の極意についてネチっこく解説するのでさらに驚きました。そのネチっこさには司会の塙宣之さんも呆れはて「昔からこんなんだったんですか?」と里崎さんに確認するほどでした。エモやんの「アホでは野球はでけん」はまさに名言です。