当院恒例の市民公開講座で「心と漢方」について講演しました。その準備中にテレビで『プレバト』を見たため、頭の中に五七五のリズムが染みこんでしまい、各処方の特徴を川柳風に紹介してしまいました。その23句は以下のとおりです。
①香蘇散(気晴らしに風邪薬でも飲んでみる?)
紫蘇の香りがアロマセラピーの効果を発揮します。
②甘麦大棗湯(もうダメよ、嘆き悲しみ、あくびする)
長女が幼少のころ風邪でグズったので飲ませたら咳をしながら寝込んでしまいました。
③酸棗仁湯(ほとほとに疲れ切って眠れない)
④加味逍遥散(更年期のイライラと言えばこの処方)
⑤女神散(更年期のシブトイ症状これで決め)
⑥柴胡剤(イっちゃった、サイコに柴胡、柴胡剤)
柴胡剤の基本生薬は柴胡と黄芩です。大柴胡湯はイっちゃった中学生に効きました。その他、四逆散(黄芩は入っていません)、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、乙字湯など。
⑦大柴胡湯(イライラと胸がつかえて肩が張る)
⑧四逆散(ノイローゼに和田東郭が頻用す)
和田東郭の患者はハイソサイエティーの人々。町医者はもっぱら葛根湯でした。
⑨柴胡桂枝湯(風邪薬?胃腸薬なの?安定剤?)
吐き気がして上半身が発汗する患者さんなら風邪でもお腹でもメンタルでも効きます。
⑩柴胡桂枝乾姜湯(もともとは風邪薬だった安定剤)
吐き気、動悸、下肢の冷えが目標です。
⑪乙字湯(これ無いと、わたし死んじゃう痔の薬)
柴胡と黄芩がタップリ含まれていて立派な柴胡剤。痔の他、イライラにも効きます。
⑫加味帰脾湯(ションボリと食欲なくてチョイのぼせ)
⑬龍胆瀉肝湯(イライラと顔はのぼせて、すそ痒し)
膀胱炎、膣炎の薬ですが、「瀉肝」には自律神経を安定させるという意味があります。
⑭清心蓮子飲(気は沈み疲れやすくて帯下あり)
龍胆瀉肝湯に効能は似ていますが、体力がおとろえている人が対象です。
⑮半夏厚朴湯(気は沈み吐き気があって咽つまり)
⑯半夏瀉心湯(みずおちに何か悪い子いるような)
「瀉心」とはみずおちのつかえを取るという意味があります。基本は黄連・黄芩です。
⑰三黄瀉心湯(頭来る、悪い子なかなか出て行かない)
黄連・黄芩・大黄で構成された元祖・瀉心湯。大黄で悪い子を追い出します。
⑱黄連解毒湯(とりあえず頭冷やして出なおしな)
⑲竜骨・牡蠣(ドキドキにチョイ足しすると効果あり)
⑳桂枝加竜骨牡蠣湯(眠っても変な夢見て動悸する)
㉑柴胡桂枝加竜骨牡蠣湯(イライラと夜も眠れず動悸する)
㉒抑肝散(母児ともに機嫌が悪けりゃ験そうよ)
㉓苓桂朮甘湯(生理前の、めまいイライラ飛んで行け!)