院長ブログ カーブ

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第369回 忙酔敬語 加齢による皮膚と粘膜のおとろえ

 冬は室内が乾燥するため皮膚関連の異常に悩まされます。私は小樽生まれですが、小学校にあがる前に東京へ転居。雪の多い小樽と違って冬は乾燥にみまわれ、手の甲にアカギレができて、「雪の元」や「メンソレータム」が欠かせませんでした。しかし、さすがは子供、数年もすると環境に慣れてアカギレから解放されました。

 動物園の象も足や耳が乾燥してひび割れ状態になり、場合によってはそこからバイ菌が侵入して病気になりかねないので、足と耳にオリーブオイルを塗られているそうです。もっと乾燥に弱いコビトカバは全身オリーブオイルづけになっているとのこと。

 人間も歳をとると肌の潤いがなくなり保湿が必要になります。

 私自身、2年前の秋から全身、とくに背中が痒くなって夜中に目を覚まして掻きむしるようになりました。お酒を飲んだ日はさらに痒くなるので、宴会でも自粛しました。昨年の夏からヘパリン類似物質のローションを塗布することで何とかしのげるようになりました。クリームや油性の方が重症な乾燥には効くのですが、ベトベトしてその後に衣服を着るのが気持ち悪いのでローションを使用しています。たまに暖房が効きすぎて寝室がカラカラに乾燥して夜中に目を覚ますことがありますが、ローションを軽く塗るだけでガリガリ掻かなくてもすむようになりました。お酒もローションを丹念に使用することで影響が少なくなったので、しぶとく復活しました。まあ、良かった良かった♪

 45歳のイチロー選手も肉体の衰えは自覚していないのでまだがんばれると言ってますが、肌の乾燥と白髪は増えたと白状していました。誰でも歳には勝てないようです。

 女性は加齢とともに外陰部の問題も生じてきます。女性ホルモンの分泌がなくなると粘膜が薄くなり、痒みやオリノモで悩む方も少なくありません。

 昔は「老人性膣炎」と差別的な用語を使用していました。今でもこんな診断を告げられて怒った患者さんがいました。

 「そんこと分かっていますが、他に言いようがないかしら」と本当に怒っていました。 今では萎縮性膣炎とか非特異性膣炎とか無難な診断名となりました。

 「フェミニーナ軟膏を塗っても効きません」

 私はフェミニーナ軟膏をはじめ、「命の母」などの市販薬を非難するつもりはありません。それらの薬が効かない人が受診するわけで、治った人も数知れずいる可能性があるからです。

 そんな患者さんの第一選択はホルモン製剤です。女性ホルモン製剤にもいろいろありますが、強い薬は必要ありません。エストリオールで充分です。内服薬、膣座薬、注射薬(デポ)がありますが、私は注射まで使用したことはありません。海外ではエストリールの軟膏が使われていますが日本ではまだ認可されていません。ホルモン剤は、短期間なら問題ないとは思うのですが、乳がんの既往のある患者さんには禁忌となっています。

 ホルモンの代用品としては大豆のイソフラボンから作られたエクオールがあります。これは医師の処方なしで薬局で購入できますが即効性は期待できません。  六味丸という漢方薬もホルモン作用があり、それなりに効くことがあります。その他、ステロイド軟膏のマイルドタイプ、赤ちゃんのオムツかぶれによく処方される亜鉛華軟膏も効きます。ヘパリン類似物質入りのクリームが効いたと言った患者さんもいました。