8月11日、通勤中、ひさしぶりにシジミチョウと遭遇。そして数日後、家庭菜園のかたすみに一輪のツユクサを見つけました。これもひさしぶり。以前だったら通勤中によく見かけたのにとんとご無沙汰でした。何だかホッとしました。
最近、新聞で朱鷺(トキ)のような目立つ動物に対しては大騒ぎするのに昆虫などのチッポケな生物については話題にもならないと、ある昆虫学者が嘆いていましたが全く同感です。以前、スズメが激減したときも大した騒ぎにはなりませんでした。生態系全体について考えると、こうしたある種の生物の増減は無視することはできません。さいわいにもスズメは復活しましたが原因はいまだにはっきりしていません。感染病など諸説あるようですが・・・。今後も注意すべきだと思います。
幼少のみぎりから青い小さなシジミチョウ(おそらくルリシジミでしょう)や、それによく似た風情の可憐なツユクサの花が好きでした。花の好みは成長するつれ変わりました。子供のときは色や形がモヤモヤしたコスモスが嫌いでしたが今は好きです。年齢を重ねるにしたがってほとんんどすべての花が好きになりました。通勤の楽しみは、考えごとをすることと各家庭の庭先に咲いている花を見ることです。笹島先生のように花を育てる趣味はありませんが、人様の花は全部オレの物だと思って見ると風情が増します。
私は小樽生まれで幼稚園のときに父が東京に転勤。そのため小学生の大半は東京で過ごしました。東京都といっても練馬に近い中野で、まだ、あちこちに畑や舗装していない道路があり、ドラえもんの世界のように子供が遊べる空き地もありました。いろいろな昆虫も豊富で、子供向けの昆虫図鑑に載っている大半の種類が見つかりました。東京タワーができて東京オリンピックの直前まで。まさに映画『ALWAYS三丁目の夕日』の時代で、日本が一番輝いていたときに東京にいたのは運の良いことでした。
小樽でも東京でもルリシジミやツユクサはよく見られました。うすのろのモンシロチョウと違ってルリシジミは素早くて捕まえるのが大変でした。アゲハチョウの仲間のアオスジアゲハはさらに機敏で一度も捕獲することはできませんでした。クロアゲハも動きは速い方で数も少なく子供にとっては貴重種でした。それが二十年以上も前の利尻町では町中に大量発生してユラユラと舞っているのには驚きました。気温の低いせいか動きが鈍くユラユラと舞っているのでした。こうなるとちょっと不気味で取る気もしませんでした。まあ、子供心も失い、虫は追っかける物から鑑賞する物となったこともあるでしょう。
さてシジミチョウの話題にもどります。父の転勤は慌ただしく、小学5年の秋に小樽に転校。そして小学6年の秋に釧路に転校し、中学卒業まで釧路にいました。道東、釧路の天候は独特で、夏は霧がかかって寒く、天気の良いのは秋だけ。冬はそれこそ凍えるような寒さでした。そんな釧路にいたのは、東京でも小樽でも珍しかった華やかなベニシジミ。あちこちに飛び交っていました。地味なルリシジミを見かけることはなし。しかし、これだけ多いとちょっと食傷気味でした。
ツユクサは摂れる所ではサラダやお浸しにして食べられるほど摂れるそうですが、少なくともわが屯田では減っています。温暖化のせいばかりとは考えられません。それ以外にも何かあるはずです。ツユクサ、シジミチョウといった小さな生き物にも注目して、環境の変化に敏感になって欲しいものです。
第193回 忙酔敬語 可憐な絶滅危惧種、シジミチョウとツユクサ