院長ブログ カーブ

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第85回 忙酔敬語 ナナカマド

8月12日、本州の各地では40度越えの気の狂ったような暑さが続きました。われらが屯田地区でも真夏日は続いていましたが、ナナカマドの葉が赤く色づきはじめ、早くも秋の気配をただよわせていました。枝の中にはまだ青い実が鈴なりになっていて、今年は例年以上に見応えのある風景を作ってくれるのではないかと期待が高まりました。
ナナカマドの赤い実は鳥の好物ですが人間の口には合いません。子供のときに試しているので確かです。いがらっぽい味が口の中に広がり、ペッペッとつばを吐き閉口しました。赤いナンテンも食べたことがありますが、これはただ青臭くやはり喉を通りませんでした。オンコの実はヌルッとしていますが甘くてときどき食べていました。オンコの実については定評があり、梅のかわりに焼酎に漬けてリキュールにすることもできます。幼少の頃、近所のサクランボを青いうちに食べるのが好きでした。ガキのくせに甘い物が苦手で、熟したサクランボよりも好きでした。しかし、お腹をこわして母に「あんな物を食べるからだよ」としかられました。甘い香りを放つ青梅にも食指を動かしましたが、青梅には猛毒があると強く親に言い聞かされていたので手は出しませんでした。
さて、今度は草について。蓼を食べた記憶ははっきりしませんが、「蓼食う虫も好き好き」という言葉に「まったくそのとおりだ」と納得したところをみると実際に食べたのかもしれません。5歳のときに住んでいた家の裏の岡にグズベリーが自生していました。これも青く酸っぱい実を食べていました。後になってサクランボと違って赤く熟した方が美味しいと分かりましたが、赤くなる前にほとんど食べてしまいました。ヘビイチゴも毒があると脅されてはいましたが、酸っぱいだけで何でもないので平気で口にしていました。草の中には葉が酸っぱくてエグミもなく、今だったらサラダにしてもいいのになと思う物もありましたが、残念ながら何という草かは覚えていません。花の蜜も好きでした。シロツメクサがその代表で、白くて小さな花びらをソッと抜いて舐めて、ほのかな甘さを楽しんでいました。紫色のもっと蜜の多い花もありましたが、これも今となっては何という花か分かりません。これらは年上の子から伝えられた子供文化だったんでしょうね。
小学6年生のときに住んでいた家の近くにニラが自生していました。友人に「これ、食えるんだぞ」と言ったところ、友人は言い終わらないうちにニラを引っこ抜いて生のまま口にしました。生のニラなんて大人だって食べられた物ではありません。友人は私の顔をダマシタナとばかりにらみながらペッペッと吐き出しました。私は逆にオレよりもバカな奴がいるもんだと呆れて友人の姿を見ていました。
最近のニュースで、トリカブトが人里に自生しているため厳重に注意しなければならないと報道されていました。ナナカマドの実から幼年時代の悪食を思い出してしまいましたが、本当はとても危険なことだったんですね。私の子供の頃は、戦争が終わって10年以上もたっていましたが、まだ餓えに対しての記憶が残っている時代でした。飽食時代の今の子供たちは野原の草木に手を出すことはないと思いますが、お母さん方、くれぐれもお子さんの行動に注意してください。
こんなオロカな思い出にひたっている間に、ナナカマドの実はすっかり赤くなってしまいました。短い秋のおとずれです。季節の変わり目は体調がくずれやすいので、みなさん、ゆとりある生活を送ってくださいネ。