院長ブログ カーブ

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第81回 忙酔敬語 酒断ちぬ

お酒をやめて1ヵ月以上たちました。「酒は百薬の長」と言われますが私に限って言えばウソでした。それも最近になって実感しました。
7月6日、産婦人科の勉強会がありました。勉強会もその後の情報交換会(まあ、懇親会みたいなもんです)も楽しく、ビールを1本ばかり飲んだ後、すすめられるままに芋焼酎をストレートで5,6杯も飲んでしまいました。もちろん食道を傷めないように水も一緒に飲みましたが、私のふだんのアルコール摂取量の2倍となりました。情報交換会が終わりタクシーに乗りました。女性の先生が2人いらしたのでレディーファーストとばかりお譲りしようとしましたが、年長ということで私が先に乗りました。この辺まではまだ大丈夫でした。家についてからトイレで用をすませましたが、その後の記憶は全くなし。翌日、目を覚ましても自分が何をやったのか覚えていませんでした。1ヵ月前にも同じようなことがありました。以前だったらこのような状況でも、そこまで酔っぱらうことはメッタにありませんでしたが、体力が落ちたのでしょう、全く動けませんでした。さいわい病院からの呼び出しは無かったけれど、けっこうヤバイなと深く反省したしだいです。
その翌日から断酒しました。手の震えはもちろん、断酒してもアルコールに対する願望は生じませんでした。自分はアルコール依存症ではないことが判明し一安心しました。2,3日すると、いつもなら夕方になると疲れてきて書類を書くのもイヤになるのですが、体や頭もスッキリとしていることに気づきました。午前中に具合が悪いというのなら二日酔いのせいだと思いますが、夕方になっても疲れがたまらなくなったのは意外でした。
ここにいたり酒は自分にとって毒だったんだと確信しました。
睡眠も問題はありませんでしたが夢を見ることが多くなりました。これは深酒をするとレム睡眠が少なくなるという学説を思い出して納得しました。レム睡眠とは、体は深く眠っていてグニャグニャ状態なのに、脳は中途半端に覚醒していて夢を見ている状態をいいます。十分な休養をとるためには不可欠な睡眠といわれています。極端な例は、いわゆる金縛りの状態です。自分でも夢を見ているのは自覚しているのですが、体は身動きもできず、ちょっと焦ります。患者さんの中にはこの金縛りを嫌がる人が多く、「何とかして欲しい」と言ってきます。そんな時は桂枝加竜骨牡蠣湯という漢方薬を処方します。半分くらいの患者さんには効くようです。実は私はこの金縛り、けっこう好きです。当直のときに(お酒は飲んでいませんよ)自分の魂が医局をさまよっているのを何度か経験していますが、その状況を楽しんでいます。患者さんと違って、夢を見ていても客観的に判断できるからでしょう。魂が医局をさまよっていても、コールが鳴れば魂と体は一瞬にして合体し、ただちに起きることができるので、佐野が当直していても心配はありませんよ。
作家の山口 瞳さんは「酒の飲めない人は本当に気の毒だと思う。私からすれば、人生の半分しか生きていないような感じがする」と述べていますが、私の場合、お酒のせいで、この10年間、損をしてきたような気がします。断酒した当時は、たまにつきあい程度には飲もうかなとも考えていましたが、翌日の事を考えると飲む気がしません。おかげさまで体調はすこぶる良好で、多分、健康寿命も10年以上は延びることと思います。
このブログのタイトル、「忙酔敬語」も改めなければなりませんかねえ。まっ、しばらくこのままでいいか‥‥‥。