院長ブログ カーブ

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第74回 忙酔敬語 生理痛(その6)

④神経を遮断する手術
子宮はいくつかの靱帯によって骨盤の中に釣り下げられています。その中でお尻の方につながる靱帯には多くの神経が通っています。したがってこの靱帯を切断すると月経痛は軽くなります。内視鏡を使った手術が一般的ですが、私が北見赤十字病院にいたとき、同僚のM先生がお腹を開けないで腟式にこの靱帯を切断する方法を開発して良い成績をあげていました。6例やって効かない人が1人でした。この方法だと子宮内膜症で癒着がひどく、内視鏡を使えない患者さんにも応用できます。(最近、M先生に訊いたところ現在はやっていないそうです。やはり低用量ピルのおかげでしょう)
⑤交感神経ブロック
これも北見赤十字病院でのお話。子宮内膜症で手術したにもかかわらず月経痛が改善しない高校生がいました。北大の藤本教授が北見に講演にいらしたおりに相談したところ、はじめの方で述べた子宮口を拡張する方法をすすめられました。さっそく高校生に説明したところ、「アレ(処女膜)はどうなるんですか?」と質問されました。「なるほどアレねえ。多分、破れるだろうねぇ‥‥」。というわけでこの案は却下されました。そこで麻酔科の資格のある同僚のN先生が提案したのがこの方法です。背中の前方にある子宮やその近辺に延びている神経の根元にアルコールを注入して麻痺させてしますのです。これによって下腹部の痛みはなくなりますが、足が麻痺するとか下腹を触っても感覚がなくなることはありません。お腹の中の痛みだけを麻痺させるだけなのです。ただし、痛みというのは危険な状態を察知するという大事な役目があります。こうした理由でこの高校生にやるべきかどうか迷いましたが、痛みが暴走すれば心身ともにダメージを受けるので、ご家族とも相談したうえで行いました。もちろん、効果は劇的でした。

11.おわりに

以上、月経痛についてお話ししましたが、原因も治療もいろいろあることを理解していただけたと思います。
どの患者さんについてもいえることですか、普段から気をつけることがあります。まず疲れをためないこと。ストレスは自然な回復力を妨げます。黄緑野菜を多く取ってサラサラとした血液を作りましょう。根菜、芋類、豆など食物繊維を多く取って便通を良くしましょう。また、体を冷やさないようにしてください。冷たい物の取り過ぎも冷えの原因になります。
今まで鎮痛薬だけで我慢してきた方も、これを機に思い切って専門医に相談して、さわやかな生活を送ってください。

あとがき

平成8年に講演した資料をいくらか訂正したりコメントを入れたりしました。「17年前の俺ってけっこう頑張っていたんだな」というのが今の私の感想です。