院長ブログ カーブ

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第70回 忙酔敬語 生理痛(その2)

ところで生理痛という言葉ですが、これは一般用語で正式な医学用語ではありません。月経痛が正式な医学用語です。したがって、これからは月経痛という言葉を使わせてもらいます。同じ医学用語でも月経痛をもう少ししかめっつらしく病気としてあつかうぞという意味合いを込めると月経困難症となります。ちなみに初潮というのも一般用語で、初経というのが正式な医学用語です。私の後輩で学会で初潮と言って笑われたのがいました。

2.月経痛はどうして起こるのか?

始めにお産のことに触れましたが、実はお産の痛みと月経痛とは本質的に同じものです。両方とも子宮の収縮を痛みとして感じているのです。お産で赤ちゃんを出すために子宮が収縮することを陣痛といいます。月経痛は子宮の中にたまった月経血を子宮が収縮して出すときに感じるのです。したがって収縮する力が強かったり感受性が強ければ月経痛はひどくなります。
その他に子宮の周りに炎症や癒着があったり、あるいは体質的なことでも月経痛は強くなります。これらの場合はふだんから下腹が痛かったり重苦しかったりします。
では実際にどんな病気や状態が月経痛をひどくするのでしょうか?主なものをあげて説明します。

3.子宮の発育が不十分な場合

まだ月経が始まったばかりで子宮の発育が完全ではないとき、月経痛はしばしばつらいものになります。子宮の出口がまだ狭いため、月経血を押し出すのに強い力が必要になるからです。したがって若い女性の月経痛はお産を経験すると楽になるのが普通です。赤ちゃんが産道を通ることで子宮の出口が広くなり、月経血がスムーズに流れ出るようになるからです。
しかし別に赤ちゃんを産むまで待たなくても、子宮の発育とともに月経痛は軽くなります。鎮痛剤が効かずどうしてもつらい場合は、子宮の出口を特殊な器械を使って広げることもできます。(注:この方法は現在、ほとんど行われていません)

4.子宮後屈

ふつう、子宮は前方に傾いていて、さらに頸部と体部を境に少し前方に少し折れ曲がっています。これを前傾前屈といって、子宮の正常な姿勢とされています。中には後方に折れ曲がっている子宮もあり、子宮後屈といって昔は月経痛の主な原因と考えられ、さかんに矯正手術が成されていました。しかし実際には20~30%の女性が後屈で、現在では病気とは見なされなくなり、手術もすたれてしまいました。
(次回のブログに続く。1回のブログは種々の事情でA4の紙1枚以内と決めているのでしばらく続くと思います)