院長ブログ カーブ

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第341回 忙酔敬語 科学的に考える

オーム真理教の幹部たちが死刑となりました。
井上嘉浩死刑囚については、たまたま入団前にNHKの新宗教と若者をテーマにしたドキュメンタリーを見て、以前からその存在を知っていました。そのときの井上は好青年でしかも家族円満。どうしてそんな家を出て宗教に入るのだろうと不思議に思いました。このたびネットであらためて調べると家庭は修羅場だったと判明しました。その番組では新宗教はオームとは報じられず、私もオームという名称は知りませんでした。その後、好青年だった井上はだんだん人相が悪くなり、行き着くとこまで行ってしまいました。
オームについての詳細は解明されていないと言われていますが、私は一般の人でも何かにすがりたいという不安があるかぎり、永久にこうした問題は続くと考えています。
オーム真理教については大事件が発覚する前からいろいろ取りざたされていました。当時、私は北見にいたので理論武装をしようと考え、北見市立図書館へ行きました。麻原彰晃は、オームは仏教が母体で、彼自身、ダライラマ14世の弟子だと称していました。そこで仏教関係のコーナーへ行ったところ、ひろさちや監修の様々な仏典を漫画で解説した全集を見つけました。安直にも、これだ!と決めて、毎週、3冊づつ借りて(1回に借りられるのは3冊まで)読破しましたが、今は何一つ覚えていません。バカですねえ・・・。
それよりも、新聞でたまたま日本を訪れていたダライラマ14世の談話が目に焼きつきました。
「わたしは麻原彰晃なる人物には会ったことはないし、基本的にマカ不思議ということは信じていない」
エディ・マーフィン主演『ゴールデン・チャイルド』のモデルはあきらかにダライラマで、マカ不思議のご当人です。そのご当人が「マカ不思議はない」と言い切ったのです。
本当のダライラマを映画で知るなら、ブラッド・ピット主演『セブン・イヤーズ・イン・チベット』がおすすめです。幼い頃からのダライラマの聡明さが分かります。ダライラマはいろいろ自伝を書いていますが、やんちゃな子で空気銃で(悪い、と本人は思ったらしい)カラスを退治しようと空気銃で撃ったことがあるそうです。大人になってからもラジオを修理したりして機械いじりが好きな理系の宗教家として知られています。
天体物理学者のカール・セーガンは、ダライラマに
「もし、ビッグ・バーンの仮説が証明されたらどうしますか?」と質問したところ、
「チベット仏教を修正しなければいけないね」と答えたので、こんな宗教家に出会ったのは空前絶後だと驚愕していました。
理系の極みである世界的な数学者、岡潔博士は「宗教の根本は信じること。現代科学は疑うことを奨励したため心の荒廃を生みだした」と警告しました。私は高校生のとき岡先生の情緒的な随筆にのめり込みました。でも信じ込むことは危険だとあらためて思います。
かく申す私は、むかし信頼していた助産師から「先生ならきっと興味を持ってくれるはずです」と一冊の宗教関係の本を手渡されました。確かに興味深い内容でしたが、最後にそこに記載された呪文を唱えると災いが防げるという箇所までたどり着き、「呪文ってただの音波だよな、それがどうして自然現象に作用するんだろう?」と疑いの念が生じてハッと我に返りました。危うくカルトの道へ進みかけたのを踏みとどまったのでした。