院長ブログ カーブ

Close

第307回 忙酔敬語 知らなかったウランバートル

NHK BSプレミアム『世界ふれあい街歩き』はカッタルイ番組です。世界の街の路地など観光客がふつう訪れない場所を、すれ違う地元の人々と挨拶をしながらブラブラと歩きながら紹介します。当然、カメラもブラブラと揺れます。
しかし、10月に放送された「ただいま変貌中 ウランバートル」は、見ているうちに背筋がピンとしてきました。
うかつにも私はモンゴルはまだ社会主義国だと思っていました。ロシア革命の後、ソ連が誕生して間もなく、中国に先駆けて世界で2番目の社会主義国として独立しました。モンゴルは歴史的にも中国のことがキライで、常に一定の距離を保ってきました。
最近、大勢のモンゴル出身のお相撲さん達が活躍しているので、社会主義国のなかでも一番うまくいっている国だと思っていたら、ソ連の崩壊のドサクサに乗じて民主化路線に走っていました。どうりで自由なはずです。
ウランバートルはモンゴルの首都で人口138万人。モンゴル全体の半分くらいにもなります。北海道での札幌みたいなものです。いや、モンゴルは日本よりもはるかに広大なので、さらにさらに極端な現象になっています。
街歩きは朝の通勤時間の若い銀行マンへのインタビューから始まりました。中心街は高層ビルが並び立ち、羊や馬はウロウロしていません。まさに近代都市です。銀行マンはその象徴といった感じで颯爽としていました。
そのビルのそばの道ばたに貧しそうな老夫婦が体重計の前にたたずんでいました。体重を量ることでわずかな収入を得ているのです。30年くらい前までは遊牧で稼いでいましたが今はそんな体力はない、何とか食べられるし、悪いことをするよりはマシさ、と言った時点で、あれっ、社会主義国家じゃなかったっけ? と異変に気づきました。
その後、社会主義国家になってからの仏教の弾圧、それから反旗をひるがえした人々の活躍や民主主義国家への変遷など、この番組に似合わない硬派な解説が続きました。
そのままウランバートルの郊外の丘へ歩いて行くと、ところどころゲルが現れました。ゲルは遊牧民独特の大きなテントのような住居です。
そのうちところどころかゲルの集団となり、そのあたりはゲル区といって、地方から遊牧では食えなくなった人々がチャンスを期待して移り住んでいることが判明しました。
いくら広くても90%以上が砂漠の国家では、人が住むには限度があります。本来ならノンビリした番組なのに安惨たる気分になってしまいました。
しかし、わずか300万の人口から大相撲の上位陣を独占するお相撲さん達を輩出するのですから大したものです。さすがモンゴル帝国の末裔です。
この番組の目玉の一つにグルメのインフォメーションがあります。以前、エジンバラを紹介したときのベストワンはハギスという羊の内臓のプディングでした。世界中のグルメがあれだけは勘弁してくれというしろものです。
今回は、定番の羊肉の塩ゆでや羊肉まんじゅうが出てきました。これ、札幌でも食べられます。「ダラハン」というモンゴル料理店で、ビルの1階にゲルを設置して営業しています。2回行ったことがあります。一度は一人で、二度目は接待。いかにもモンゴルといった雰囲気が味わえ、値段も手頃でなかなか良かったです。皆さんも一度いかかですか。