院長ブログ カーブ

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第288回 忙酔敬語 人慣れ遺伝子

人間をあまり怖がらない野生のマウスを12世代にわたって交配させた結果、人間に積極的に近づいて来る性格のマウスが生まれたと国立遺伝研究所の研究グループが発表しました。
どのくらい人懐こいかというと、人間が手をさしのべただけで積極的に近づいて来るとのこと。ペットのマウスでさえ、触れてもあまり逃げはしませんが、自ら近づいて来ることはめったありません。
さらに人懐こさに関わるとみられる遺伝子も見つかったそうです。この遺伝子はイヌでも見つかっており、遺伝研の小出剛准教授は、
「野生動物の多くが家畜化できない理由を今後、明らかにできるかもしれない」
と話しています。
以上、朝日新聞に小さく取り上げられた記事ですか、私にとっては長年にわたる疑問が解消して、まさに腑に落ちた感がしました。
昔から、アジア象は人に慣れるのに、アフリカ象はどうしてダメなんだろうと不思議に思っていました。
カルタゴの英雄ハンニバルが象を率いてアルプス越えをして、ローマを震え上がらせたという有名な戦史がありますが、アフリカ象がおとなしくハンニバルの言うことをきくとは考えられず、あれはアジア象で、当時はアフリカにもアジア象が生息していたという説まであります。
アフリカ象は凶暴だと言われていますが、象どおしではいたわり合い、それほど凶暴には思えません。ただ、人間に慣れないだけです。
シマウマがどうして家畜になれないのか‥‥‥‥。
ジャレド・ダイアモンド著『銃・病原菌・鉄』(草思社文庫)では、「アンナ・カレーニナの法則」で煙に巻いていました。
トルストイの大作『アンナ・カレーニナ』の有名な冒頭。
「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はそれぞれの事情がある」
家畜になる動物はおとなしいが、これは特殊なケースで、ふつうの動物は慣れないのが当たり前だ、と言いたいらしいのですが、私にはピンと来ませんでした。
人慣れ遺伝子が存在するということで、すべてが納得できました。アフリカ象やシマウマにはそもそも人慣れ遺伝子は存在しないんですね。いくら頑張っても慣れないはずです。 ケビン・コスナー主演『ダンス・ウィズ・ウルブズ』で野生のオオカミが主人公に懐くシーンがあり、これが題名の由来となっています。オオカミにはもともと人慣れ遺伝子があり、そのためイヌとなったのでしょう。
「氏より育ち」と言いますが、人間の性格ももともと遺伝的に定められている部分があると考えた方が合理的でしょう。「氏」も無視できません。
活発な子はお腹の中にいるときから活発で、お母さん達も「前の子と違ってよく蹴ります」と気づいています。
子供によってもともと性格が違うわけですから、一律の教育では大ざっぱです。一人ひとりにきめ細かく対応する必要があると考えます。