院長ブログ カーブ

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第285回 忙酔敬語 今なぜ妊産婦メンタルヘルスなのか?

札幌市立大学の助産専攻科で、年に1回、妊産婦のメンタルヘルスケアについて90分の講義をしています。学生は十名ちょっとですが、私の講義の仕方がマズイのか半分近くの学生が居眠りをします。
当院の外来助産師のSさんが札幌市の保健師をしていたころ、札幌市内の保健師さんを対象に同じテーマで講演したときは、けっこうウケました。
「どうして学生にはウケないんだろう?」とぼやいたら、
「実際に働いてみないと先生の話は分かんないじゃないですか」
となぐさめられました。
今年は、動物の進化について考察しているうちにふと思い当たることがあったので、開口一番、前に座っている学生に質問してみました。
「お母さん方の悩みは何だと思う?」
「子育てだと思います」
期待していた答えでした。
ハチやアリは女王バチ(アリ)を中心に役割分担をして実にみごとに子育てをします。 たいていの鳥はけんめいに餌をヒナにあたえますが、なかにはズボラにも卵を産みっぱなしにして、孵ったヒナがいきなり餌を求めて活動を開始する種もいます。
ウミガメも砂浜に穴を掘り苦しみながら産卵しますが後は成り行きまかせ。
みなあらかじめ本能にインプットされた行動をしているだけで子育てに悩んでいそうには見えません。
昔、実家で捨て猫を飼ったことがありました。当時は猫のほとんどは拾ってくる物(人権はないので者ではない)で、ペットショップで買うなんて贅沢なことでした。
その子猫はメスで、不妊手術もせずに放し飼いしていたら、いつの間にか大きくなって部屋の隅で唸っているので様子を見ていると赤ちゃん猫を産んでしまいました。その後は落ち着いて臍帯を食いちぎり、胎盤は食べるというアッパレな行動ぶりでした。
猫くらいまでだとメンタルヘルスケアは必要なさそうです。動物園のパンダも放っておいた方が無難なようです。
ところが動物園で生まれ育ったチンパンジーやオランウータンなどの類人猿になると、まったくダメで途方にくれ、ヘタをしたら赤ちゃんを放棄する危険があります。あらかじめ子育ての学習、あるいはメンタルヘルスケアが必要となります。
人間でも本能が残っている十代のヤンママはすぐに赤ちゃん語を理解することができますが、赤ちゃんを抱いたこともない三十過ぎのお母さんはどうして良いのか分からず途方にくれてしまいます。当然ですね。そこでじっくり時間をかけて心身両面に関してケアが必要となります。
実際の赤ちゃんのケア体験など、産前の指導が充実されれば産前産後のメンタルケアの必要性は少なくなると思います。また、十代の女の子に童謡『あかとんぼ』の姐や(ねえや)のように子育てバイトをさせれば一石二鳥となるでしょう。
そんなユルイ講義をしたところ、どうしてもウツラウツラする1,2名の学生を除いては例年になく熱心に聴いてくれました。