院長ブログ カーブ

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第26回 忙酔敬語 冷たい飲み物

暑い季節です。ついつい冷たい飲み物に手を出してはいませんか? 冷たい飲み物をゴクゴク飲むと胃腸を冷やします。胃腸はもともと体温程度の食物を処理するように設定されていますから、冷たい物を投入されるのは想定外の事です。したがって冷たい飲み物の摂りすぎは体調を崩す原因となります。医食同源を大切にする中国人は、現在はどうか分かりませんが、冷たいビールは生理的に受け付けず、冷たいビールを提供されたときはこわごわと少しずつ飲んでいたそうです。私も普段は焼酎派ですが、お中元でビールをいただいたときは冷蔵庫に入れずに室温で飲んでいます。「ぬるいビールをよく飲めますね」と言われますが、ぬるいビールの方がビール本来の味が分かるような気がしてなかなか良いものです。そういえばフランス人の男性に冷えたミネラルウォーターを出したところ、「水本来の味が分からなくなるではないか」とキレたという記事を読んだことがあります。 外来にお子さんを連れてこられる妊婦さんがいますが、まだ3,4歳のおちびちゃん達が当院の自動販売機から購入した冷たい飲み物を大事に抱えているのを見ると心配になります。「これ、全部この子が飲むんですか」とつい訊いてしまいます。体重が10㎏程度の子どもが200mlの飲み物を飲んでしまうと、50㎏の大人が1000mlを飲んだことになります。最近、ニューヨーク市が、Lサイズ(約500ml以上)の砂糖入りの飲料を販売すると、約1万6千円の罰金を課せる方針を明らかにしました。砂糖入りの飲料は肥満の原因となり、ひいてはメタボや死亡のリスクを高めるというのです。お母さん達の話では、おとなしくさせるための手段でふだんは飲ませていないとのことですが、やはりちょっと心配です。砂糖入りではなくても冷たい飲み物自体がおちびちゃん達の健康を害するからです。むかし、漢方の大家の故津田先生が「子どもは風の子と言われてきたが、最近の子供達は冷蔵庫で冷えた飲み物を摂るので、冷え症になる子が増えてきている」と嘆いておられました。子どもが喉が渇いたと言ったら室温の水、おやつが欲しいと言ったらスナックではなくお握りを与えるべきであるという本を読んだことがあります。そのとおりだと思いました。「それなら自動販売機を撤去すればいいではないか」と言われるかもしれませんが、これが楽しみで当院について来るというおちびちゃんや、入院中のお母さんの期待を裏切るのもどうかと、優柔不断の私は迷うのであります。