院長ブログ カーブ

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第257回 忙酔敬語 更年期からが人生だ

「私、もう、更年期なんでしょうか?」
42歳の患者さんが悲しそうな面持ちで訊ねました。
またか、と思いましたが、できるだけ笑顔で答えます。
「更年期は人生の終わりではないんですよ。本当の人生の始まりです。できる女性は更年期を過ぎてから活躍しているでしょ。政治家でもトランプに負けたけどヒラリー・クリントンは69歳、もう落ち目だけど韓国のパク・クネ大統領は64歳、ドイツのアンデラ・メルケル首相は62歳、イギリスの氷の女テリーザ・メイ首相は60歳、日本でも小池百合子都知事は64歳、そうそう、わが北海道の高橋はるみ知事も62歳」
こんな風に説明していると、これらの女性達が自分の年齢に近いのにあらためて驚きました。俺も頑張らなくっちゃ‥‥‥。
更年期は閉経の5年前から5年後の10年間と言われていますが、閉経後ならまだしも、あと何年で閉経するなんて誰にも分かりません。また、更年期イコール更年期障害ではありません。
生物学的に言えば更年期はもう妊娠できなくなった時期です。中国の医学書の古典『黄帝素問』には女性は7かけで成長と老化が進行すると説明しています。すなわち、7歳で女の子らしくなり、14歳で月経が始まる。21歳で体が大ききなり、28歳に身体的は絶頂期。35歳で白髪が増えてきて、42歳で歯も抜ける。そして49歳で閉経となる。けっこう説得力があるでしょ?
ちなみに男性は8かけで、8歳で男の子らしくなり、16歳で子をなすことができる、24歳で筋骨は強壮となり、32歳で身体は最盛期となる。40歳で老化が始まり、48歳になると顔つきにも老いが現れる。56歳で体力は消耗し、64歳で子をなすことができなくなる。
男性に関しては女性ほどピンと来ないですね。性ホルモンの変化は女性ほど劇的ではないからです。「64歳で子をなすだって?!」と驚き愕然とする人もいれば「俺はまだまだだ」と胸を張る人もいます。
『黄帝素問』では女性の49歳、男性の64歳以降については触れていません。「あまりにも無責任ではないか」と思われるかもしれませんが、古代の中国では(日本やその他の国もそうですが)長寿の人が少ないのでデーター不足だったと考えられます。
そう言えば、時々、札幌に講演に来られる聖路加病院の百枝幹雄先生に「日野原先生(当時103歳)はお元気ですか?」と訊いたところ、「104歳以降のデーターはほとんどないので今後どうなるか注目を集めているんですよ」とニンマリされました。
動物の生態を報道する番組、『ワイルドライフ』や『ダーウィンが来た!』を見ていると、動物たちの目的は子孫を増やすこと、ただそれだけということが分かります。だから子育てが終わり、子供が産めなくなったら生きる意味がなくなりただ死ぬだけです。
人間も古代はそうだった。現代でも原始の生き方をしている民族の平均寿命は四十代だそうです。ところが文明が起こり余計なことをしなければならなくなると、孫の世話をしたり社会をまとめ上げる人が必要になった。そこで更年期を過ぎた女性の活躍の場が拡大されました。要するに更年期は動物の世界から人間の世界へ入り口です。子供は産めないが人間力は向上します。そんな顔をしないであと40年は頑張って欲しいものです。