院長ブログ カーブ

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第249回 忙酔敬語 経済成長と「とと姉ちゃん」

10月16日、NHKスペシャル「マネー・ワールド」資本主義の未来(1)という番組が放送されました。司会は爆笑問題、ゲストが大阪大学の若き経済学者、安田洋祐先生でした。内容は世界はもう、いっぱいいっぱいで経済が成長する余裕はないとのこと。そう言えば、先日、北大の正門を入ってすぐのグッズ&喫茶店「エルムの森」で、ディスプレーに現在の世界の人口は70億人で、100億人が地球の限界との表示を見ました。
爆笑問題の田中さんが「そもそも経済成長って必要なんですか」と、私が日頃疑問に思っていることを訊いてくれました。
安田先生いわく、
「経済成長が止まるということは、オリンピックで世界記録が出なくなるのと同じようなものなんですよ」
何だか説得力がないなあ。オリンピックの記録なんてどうでもいいじゃないですか。それよりもみんなが平和に生きることが大事じゃないの?
そして、朝ドラ「とと姉ちゃん」についての異和感を思い出しました。「とと姉ちゃん」の時代は昭和30年から40年代の日本の高度経済成長期。昭和30年代のちょうどそのころ、私は小学生で、昭和33年から昭和38年まで東京に住んでいました。
昭和34年に中野区立武蔵台小学校に入学。東京タワーが建って間もなくでした。東京といっても練馬に近い中野区鷺宮5丁目で、東京タワーははるか彼方にありましたが、図画の時間に遠足の思い出の絵を画かせられたら、大半の子が画用紙いっぱいにデカデカと東京タワーを画いていました。バッカみたい、と思いましたが、当の自分は何を画いたのか覚えていません。やっぱり東京タワーを画いたかも‥‥‥。
高いビルは都心でしかなく、校庭のブランコに乗って高く上がるとはるか西の彼方に富士山が小さく見えました。最寄りの駅は「富士見台」でしたが、まさにその通りでした。
家のまわりは畑があって、道も舗装されていなく、車が通ると砂利が飛び散りました。空き地もあり、「ドラえもん」や「三丁目の夕日」の世界そのものでした。庭にはモグラのとおった痕があり、ときにはイタチも現れて追っかけまわしたが、捕まるものではありません。昆虫図鑑に載っている虫の半分くらいは近所で観察されました。
プールで弱ったコウモリを捕まえたことがありました。コウモリは滅多に見かけませんでしたが、小学5年生の秋、東京オリンピックを逃れるように父の転勤で生まれ故郷の小樽に引っ越すころ、めずらしくコウモリの大群が空を舞っていました。
こう書くと、まるで「里山」に住んでいたようですが、すでに隅田川は悪臭をはなすドブ川と化し、東京湾では魚が捕れなくなって「江戸前」なんて死語になっていました。「とと姉ちゃん」の時代背景にはこんな自然の荒廃があったのです。豊になって「良かった良かった」と喜んではいられなかったんですよ。
現在、日本はやっと自然の大切さを再確認して、江戸前も食べられるし、隅田川もきれいになりました。よく昔は良かったなと言いますが、私は昔は危なかったと思っています。
日本は全国すべて「里山」になれる潜在能力があります。経済成長なんてどうでも良いじゃないですか。農業や林業、そして漁業を大切にして自分の手で実直に食物を確保して健康的に生きていけるはずだと思います。