院長ブログ カーブ

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第241回 忙酔敬語 当帰芍薬散

「えっ? 当帰芍薬散? あんなの効かないよ」
ある基幹病院の産婦人科の医師にそう言われた患者さんが受診しました。更年期障害で漢方での治療を希望して最初の病院で治療を受けていたのに半年しても良くならない。処方された漢方薬は当帰芍薬散でした。しかたなくつぎの病院を受診しましたが、口と態度の悪い医師にあたりガッカリしたとのこと。
態度は悪いが正直な奴です。最初の病院の医師の方が効きもしないのに同じ薬を漫然と処方し、タチが悪いなと思いました。
当帰芍薬散の効能は製薬会社によって異なります。
ツムラは、貧血、倦怠感、更年期障害(頭重、頭痛、めまい、肩こり等)、月経不順、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症。
クラシエは、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ。
コタローは、心臓衰弱、腎臓病、貧血症、産前産後あるいは流産による貧血症、痔核、脱肛、つわり、月経不順、月経痛、更年期神経症、にきび、しみ、血圧異常。
オースギは月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え、しもやけ、むくみ、しみ。
東洋薬行は、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ。
どうです? まるで万能薬ですね。当帰芍薬散は産婦人科向きの薬として有名ですが、コタローは始めに心臓衰弱、腎臓病と来た。あらためてビックリしました。うかつでした。ますます何のための薬か分からなくなったことと思います。
どの製薬会社にも共通しているのが、月経に関する症状、妊娠や流産関係、更年期障害(コタローは更年期神経症)で、やはり女性向きの薬のようです。
当帰芍薬散は、当帰、川芎、芍薬、朮、沢潟、茯苓といった6種類の生薬から構成された漢方薬です。もともとはこれらの生薬を細かく粉砕した散薬です。ためしに薬局に頼んで作ってもらったことがありますが、臭いや味が強烈で飲めたものではありませんでした。エキス剤で十分だと昔の大家も言っていました。当帰、川芎、芍薬はいわゆる貧血や痛みに効きます。とくに川芎は血の巡りを促します。朮、沢潟、茯苓は利尿作用があってむくみを取り、それにともなって冷えを改善します。いわゆる貧血と書いたのは、貧血のように見えるということです。血液検査で貧血のある女性には鉄剤が必要です。
以上、まとめると、疲れやすく冷えやむくみがあって、どこかしこに痛みがあるという人に向く薬です。したがって対象になるのは妊婦さんや子宮筋腫などで貧血気味でむくんだ更年期の女性が多くなります。場合によっては心臓の悪い人でもOKです。効果は1,2週間で出るはずです。効きもしないのに半年も飲む必要はありません。