院長ブログ カーブ

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第16回 忙酔敬語 紅の豚

4月6日の当直のとき、テレビの金曜ロードSHOWで「紅の豚」を見ました。当直といっても必ずしもお産で起こされるわけではなく、その日はまったく呼ばれることもなかったので、最初から最後まで見ることができました。宮崎駿監督の作品はどれも好きですが、「紅の豚」は「カッコばかりつけやがって」と今一つといった印象を持っていました。しかし、その日はじめて、戦争に対する嫌悪、女性への優しさなどけっこう深いんだなと再認識しました。加藤清史郎クンがナビゲーター役で、「男は外見ではないってことですね」としゃべらされていましたが、子どもではまだ「紅の豚」の良さは理解できないと思います。この私が何度も見てやっと分かったのですから。
宮崎駿のアニメはどれも好きと書きましたが、人が死ぬ作品は小骨が喉にひっかったようで心から好きとはいえません。「天空の城 ラピュタ」、「ハウルの動く城」などがそうです。名作の「風の谷のナウシカ」でさえ、ナウシカが父を殺された怒りで敵兵を何人も斬り殺したとき、ちょっと残念な気がしました。その点、「となりのトトロ」はホンワカとして何度見ても安心です。宮崎さん自身もこの作品がお好きなようで、作成中も機嫌が良かったそうです。トトロがジブリのトレードマークにもなっていることでも監督の思い入れが分かります。はじめて見たときは、メイが「お母さんに会いに行くんだ」と言って穫れたばかりのトウモロコシをかかえて行方をくらませ、近所の人々に迷惑をかけるシーンを見て「しょうがないガキだな」と腹を立てましたが、最近ではメイの悲しさが胸に響き泣けるようになりました。私も親として成長したのでしょう。
宮崎監督のアニメを通して気に入っているのは、空を飛ぶリアルな感じと水の透明感です。「紅の豚」の秘密基地の波打ち際のシーンも好きですが、「千と千尋の神隠し」の中で千尋がカオナシと湖面上の列車に乗る場面の美しさは息をのむ思いがします。
「紅の豚」の最後の感想は「男ってバカだな」ということです。豚は戦争がキライだと言いながら、女性から見れば無意味な空中戦にウツツをぬかしています。ここで気づいたのがロバート・レッドフォード主演の「華麗なるヒコーキ野郎」です。時代は第一次大戦が終わり、戦闘機乗りがあぶれ者になったころです。映画会社が戦闘機同士の空中戦を撮影するシーンで、ロバート・レッドフォードが伝説のドイツの戦闘機乗りとガチンコのドッグファイトをやり、「このバカさかげんは女性には理解できないだろうな」と思いました。そして「紅の豚」は「華麗なるヒコーキ野郎」をパクっているのではないかと勘ぐったのでした。

※「華麗なるヒコーキ野郎」と似たような題名の「素晴らしきヒコーキ野郎」という映画があります。これは世界中の飛行機乗りのレースのドタバタ喜劇で、日本代表として石原裕次郎もチョコッと出演しています。お間違えのないように。