院長ブログ カーブ

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第157回 忙酔敬語 地球温暖化

昨年、九大の総長になられた久保千春先生はイイ感じの人です。九大心療内科の三代目の教授と病院長を務めあげ、その業績を評価されて総長となりました。当院の郷久理事長とは家族ぐるみのお友達です。札幌の学会に特別講演に来られたときに、奥様方も同伴でささやかですが一席もうけ、私もご一緒させて頂きました。偉い地位にありながら全然威圧感などなし。久しぶりに会った私に懐かしそうに笑顔で挨拶してくださいました。
総長ですから、お仕事は専門の医学関係以外におよび、地球温暖化対策にも引っ張り出されます。大変ですね。最近は二酸化炭素対策のための水素燃料の自動車の研究会に出席されたそうです。
お酒の回った私は久保先生の人柄に甘えてチョットからんでしまいました。
「その水素を作る過程で二酸化炭素が発生するなんて事はないんでしょうね?」
「そもそも二酸化炭素で温暖化になることがそれほどイケナイことなんでしょうか?」
「ジュラ紀の大気は現在の何十倍も二酸化炭素があり、そのため植物は生い茂り、それを食べて恐竜は巨大化したんですよ。そのどこが悪いんですか?」
翌朝、おそるおそる郷久先生に尋ねました。
「オレ、久保先生に失礼なことを言いましたが、怒ってませんでしたか?」
「いいや、物知りな先生ですねって言ってたよ」
顔から火が出ました。私の知識のネタはNHKスペシャルとかBBC地球伝説などの聞きかじりで、コツコツ勉強したわけではありません。でもせっかくですからその聞きかじりを披露します。ただし記憶は定かではないので真に受けないでくださいよ。
約2億年前に始まるジュラ紀は、火山活動などのため、大気中の二酸化炭素が増え気温も上昇し、極地でも零度以下になることはありませんでした。樹木は天高く生い茂り、その葉を食べるために恐竜も巨大化し、ディプロドクスやプラキオサウルスといった竜脚類が出現しました。大量の二酸化炭素は、陸上の樹木の他に海中のサンゴなどにも吸収され石灰岩となり、白亜と呼ばれる地層を形成します。次代の白亜紀の到来です。
白亜紀の二酸化炭素はジュラ紀よりも減少しましたが気温は相変わらず高く、植物も進化して背の高い裸子植物から花を咲かせる被子植物が主流となります。広大な草原が出現して草食恐竜も首をのばす必要はなくなり、トリケラトプスやステゴサウルスのような個性的な恐竜がのさばるようになりました。そこへドカン!!と一発、巨大隕石が衝突。噴煙は太陽の光をさえぎり、酸性雨が降り続き、気温は急激に下がり、ほとんどの草木が消え果て、恐竜の時代はあっけなく終わりました。はかないものです。
この規模の巨大隕石、計算上、一万年に一回はやって来るそうです。そんなに頻繁に来られては生物の進化なんてあったもんじゃありません。それを守っているのが地球の外側を回っている太陽系最大の惑星、木星です。その強力な引力で、太陽系の外から来る隕石のほとんどを吸収してくれます。まさに木星様々です。
恐竜の絶滅からわずか6600万年、いくつかの氷河期を乗り越え、現在の地球があります。「地球温暖化が何だ」とくだをまきましたが、現世生物の保護という100年単位の観点から言うと、先の意見は撤回しなければなりません。
久保先生、知ったかぶりの酔っ払いをお許しください。