院長ブログ カーブ

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第150回 忙酔敬語 マスクとスッピン

近ごろは寒くなったので珍しくもありませんが、秋の訪れとともにマスクをする患者さんが増えてきました。
「風邪でもひきましたか?」
妊婦さんのほとんどは、
「いえ、予防です」
いや、感心感心。
しかし、中にはメガネがくもると言って鼻を出している妊婦さんがいました。それでは咳などで人に風邪をうつす予防にはなりますが自分の防御にはなりません。こっちは手術などでマスクをするのには慣れているので、マスクの上からメガネをかけるやり方を伝授しました。メガネの中に呼気が入ると思いきや大丈夫なのです。
「あら、本当にくもらない!」と驚いていました。
婦人科の患者さんにも風邪でもないのにマスクをしている方がいました。
「どうしたんですか?」
「実はスッピンなんです」
思わず笑ってしましいました。こんな患者さん、けっこう増えています。聞くところによるとメイク代よりもマスクの方が安くつくそうです。診療では患者さんの顔をじかに見ることが大事なので、気の毒ですがはずしてもらいます。でも診察室の中だけ。よく見た後はまたマスクはOKです。
今となっては昔のことですが、患者さん達にスッピンでいてもらうために職員にもスッピンを強要している病院がありました。看護師さんや助産師さんならまだしも受付嬢にまで強いているのは可哀想だなと思ったことでした。
大学病院にいたとき、入局したばかりの若い女医さんがスッピンなのを見て、「そんな荒んだ顔をしていたら患者さんが不安になるぞ。口紅くらい附けろ」と注意したことがありました。われながらオヤジでしたね。
当院は、自由な雰囲気をモットーとしているので、基本的に職員の出で立ちにうるさく口ははさみません。茶髪が流行った頃は詰め所の申し送りのとき、半数以上のスタッフが明るい色の髪をしていて、それは華やかなものでした。
そう言えば、女優の浅野ゆう子さんがスッピンを売りにしていたことがありましたね。最近はあまり見ないのでよく分からないけれど。
室井 滋さんも『週間春秋』に『すっぴん魂』というエッセイを連載していました。こちらは「心がスッピンで、先入観がない」ということで、実際は薄化粧をしているようです。実は私、映画『居酒屋ゆうれい』を見て以来、室井さんのファンです。こう言っては失礼ですが、『新 居酒屋ゆうれい』の松坂慶子さんほどベッピンさんではありませんが、知性に裏付けされた演技力に感心しています。ときどき軽薄なCMに出演していますが、もっと彼女の魅力を発揮した姿を見たいものです。
私の悪いクセで話が横道にそれました。母を連れて内科の病院を受診すると、感染予防のためかお医者さん、看護師さんともマスクをしていました。しかしながら当院では笑顔が売りなので、風邪でもひいていないかぎりマスクはしていません。