院長ブログ カーブ

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第149回 忙酔敬語 理想の夫婦

この夏、みうらじゅんさんが『正しい保健体育Ⅱ』という本を出しました。
10年前にも『正しい保健体育』を出版しました。内容は中学生の男子を対象とした性教育で、男子の生理的な心理を的確に表現していて、まさに目から鱗といった感じでした。ユーモア満載で、「男性のことが良く分かった」と女性にも評判の一冊でした。
『正しい保健体育』では、「愛とは、セックスのことではなく、下の世話をすることです。だから君たちにはまだ早い」と中坊にはワケの分からないことを述べていましたが、今回のパートⅡはズバリ結婚編で、「結婚の相手は将来介護してくれそうな女性を選ぶこと」を強調していました。
先日、いろいろお世話になった叔父さんのお見舞いに行き、みうらさんが言っていたのはこういうことかという思いをしました。叔父さんと叔母さんは、まさに理想の夫婦でした。
叔父さんは八十も半ばで、いろいろな病気を持っている上に、この春、家の中で転んで頭を打って頭蓋内出血のため緊急入院しました。そして一時は明日ともしれない身となりました。遠方に住んでいるので、たびたび会うことも出来ません。10月の連休に当番を外してもらってお見舞いに行きました。これがこの世で会う最後の機会と覚悟しました。
叔母さんもさぞかし叔父さんの介護で疲れているかと思いきや、七十代とも思えないほど元気で生き生きとしていました。昔から自他ともに美人でとおっていて、今でも「三十代に見られることもあるのよ」と自慢しています。
叔母さんと一緒に病院に行ってまず驚いたのは、車椅子ではありましたが、食事が終わって座っていることでした。2,3か月前までは、意識もない状態で、叔母さんから、どうしたら良いのかと、3日とあげず相談の電話がかかってきたのに、「なあんだ」と力が抜けました。でも良かった。実は叔父さんにどう挨拶して良いか思案していました。
「敬夫さん、どうしてきたの?」と訊かれたら、
「これが最後と思って来ました」
もともと大阪人だからジョークとして通じるかも‥‥。でもそんな心配は当分なさそうでした。
叔父さんの入院している病院はリハビリの設備もありましたが、人手が足りなく、皆さん、良くはしてくれていましたが、十分なリハビリを受ける余裕はありません。
そこで威力を発揮したのが叔母さんの魅力。本当は一般の人は設備の利用はダメなのですが、勘の良さが施設の人にも分かったのか、特別に許可されました。
「あなた、もっと頑張って」と、手を添えて車椅子から立たせてのスクワット。捕まり歩き5往復。机の上にデコボコのボールを転がしてのイレギュラーのキャッチボール。
食事の後は歯磨きの介助、もちろん下の世話も。
これらを一日に2回も通院して行っているのです。
「おジイちゃんがこんなに可愛いと思ったことはなかった」。叔父さんも
「昔、(叔母さんを)いろいろ自由にさせていたのは貯金だった」と満足気。
叔父さんの若かりし頃の趣味は家庭サービスと家事でした。自分のことはさて置き、みうらさんは、はたしてここまでやっているのかと、ふと思ったことでした。