院長ブログ カーブ

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第137回 忙酔敬語  煎り大豆の効用

健康のためによく噛むことが大切だと言われています。それも乳歯の生えている頃から。幼いときにしっかりと噛まないと顎の発達が悪く親知らずの生える場所がなくなります。そして大人になってからトラブルが発生するのは周知のとおりです。さいわいなことに、私は幼少のみぎり、甘い物が苦手でスルメを好んで食べていたためか、現在、親知らずを含め32本の歯は全部機能しています。大人になってからも何回も咀嚼することで、消化液の分泌も良くなり、脳にも刺激をあたえて認知症の防止にもなるそうです。
総合医学にくわしい東京有明医療大学教授の川嶋 朗先生によると、江戸時代の人は一口食べる度に30回、縄文人は50回噛んだそうです。「縄文人の噛んだ数なんて誰がかぞえたんですか?」と訊いたところ、歯のすり減り具合を調べた結果から推測したとのこと。
しかし、縄文人も別に意識して噛んだわけではないと思います。
第120回のブログで、ダイエットのため大豆とアーモンドを中心に食べていると書きましたが、最近は煎り大豆にも慣れてアーモンドには手を出さなくなり、大豆オンリーでやっています。これが実に良いんですねえ。白米だとほとんど噛まずに済みます。お相撲さんの世界ではカレーライスは食べ物ではなく飲み物だそうです。煎り大豆はそうはいきません。お腹がいっぱいになるまでポリポリやると20分近くかかります。一回に15粒くらい口中に投入しますが、飲み込むまでの咀嚼数をかぞえてみたら優に50回を越えました。縄文人もナッツを中心とした食生活をしていたので必然とそうなったのでしょう。白米を50回も噛むなんて不自然で無理な行為です。
養老孟司先生によると、齧歯類以外の哺乳類の歯は、すり減ったら延びることはなく、すり減ったままだそうです。ゾウでも歯がすり減って食べられなくなれば、それで寿命はアウトとのこと。噛むのもホドホドですね。
次は出口の問題。私はストレスに遭遇するとしばしば大腸の機能に障害をきたします。便秘になったり、便と水分が分離して、ガスとともに水分だけ出たりすることもあります。
それが煎り大豆を食べるようになってから解消しました。
健康なウンコの成分は、50%が水分、残りは腸内細菌の死骸、腸粘膜の垢、それに食物残渣すなわち食物繊維です。昔は食物繊維の多い食物は消化に悪いと毛嫌いされていました。明治時代のベストセラー、村井弦斎著『食道楽』には白米以外は、何でもかんでも消化に悪く、豆腐も消化に悪いと書かれていました。しかし、今では、食物繊維は腸内細菌の格好の住み家で、健康に大いに関与していることが分かりました。
学生のときに英語の授業で読まされた『リーダーズダイジェスト』には、アフリカの原住民は、雑穀を摂っているので一日のウンコの量は500gもあるそうで、50gの米国人と比べてあきらかに大腸がんの発症率が低いと書かれていました。アルコール大量摂取のため大腸がんのハイリスクだった私も、おかげさまで良いウンコが出るようになり、寿命が延びることと思います。ちなみに量は150g以上。直接計ったわけではありませんよ。排便前後の体重の差から割り出した結果です。
便秘は妊婦さんにとっても大敵です。予定日近くになって20分もトイレで頑張ったあげく、赤ちゃんが生まれてしまった事例もあります。出来たら3分、長くて5分、間違っても10分以上は踏ん張るなと、毎日のように指導しています。